【わかりやすいあらすじ】
六月某日。狐娘の宮坂京子は、家族が皆用事などの兼ね合いで家を空ける事、一晩だけとはいえ一人で過ごす事に不安を覚えていた。
どうしたものかと思っていると、梅園六花から「そんならアタシの家に泊まってくか?」と誘われたのだった。
【ほんへ・ワンシーン】
「宮坂さん。アタシはもう着替え終わったから。壁ばっか眺めてても辛気臭くなるだろう」
六花の明るく快活な言葉に、京子はそっと振り返った。六花が着替えている間、京子は彼女に背を向けていたのだ。女同士だから特に見られても大丈夫だと六花は思っていたのかもしれない。彼女は概ねあけすけなのだ。
六花の姿を見た京子は思わず首を傾げた。私服である事は明らかであるが、余りにも奇抜な服装に見えたのだ。
濃い青緑のオフショルダーのロングTシャツと、薄い藤色の膝丈までのスカート姿だった。全体的に寒色でまとめているものの、へその辺りで締めているオレンジ色のベルトが差し色となり、アクセントとなってもいる。
無造作ながらもセンス良く決まっているのは、彼女の美貌と美的センスのなせる業であろう。スケバンな言動とは裏腹に、六花は芸術を解する心の持ち主でもあるのだ。
ただ、無邪気にピースサインを作る六花の姿は、いささか大胆な物だった。
何と声をかければ良いのか。京子が考えあぐねていると、六花が無邪気な様子で口を開く。
「あはは、今日はちとカッコよくキメてみたんだよ。いつもはジャージとか適当な服装なんだけどさ、折角女友達が遊びに来てくれたんだし」
【解説】
蕾花様のファンアートから着想を得て、あやかし学園のワンシーンに六花ちゃんの地雷ファッション姿を描写出来たらなぁ……と思った次第です。
ただ、京子ちゃんが六花ちゃんの家に泊まる話を手掛けるのはずっと先の事なので、ひとまずここでワンシーンだけ書き下ろしました。
いつも蕾花様にはご愛顧いただき感謝です。