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『第2回「G’sこえけん」音声化短編コンテスト』振り返り

『第2回「G’sこえけん」音声化短編コンテスト』が募集終了したみたいです。
短編とは言え三作品も書けたのは、俗に言う筆が乗ったというやつで楽しめました。
改めて、書く前と書いている時に考えていたことをいくつか書き連ねようかなと思います。備忘録的な意味で。



始めに音声作品の大前提として
・ワンシーンのみを切り取った「シチュエーションボイス」
・音要素を含んだ「物語」
の二種類があると想定しました。
他にも色々種類は在ると思うのですが、まあそのへんはざっくりと。

第一回におけるASMR部門の受賞作品はいずれも前者ですが、聞く側としても書く側としても後者が好ましいので、その形での三作品の制作に至った次第です。

では、各作品のお話を投稿順に。



『おしかけ子分と、山暮らし』
https://kakuyomu.jp/works/16817330657958393765
主題としてあえて挙げるのであれば「環境音」です。
音声作品におけるメジャーな表現として耳かきやマッサージなどがある大前提。
かつ、第一回の大賞がそのような要素を扱っている作品でした。
第二回のコンテストでは、そうした要素を含む後追い作品が出ると考えました。
つまり、そうではない表現を探索したかった、というのがあります。逆張りですね。
なので、風音や焚き火音などの環境音を中心として、音の要素を含む物語を書こうと考えた結果あのような内容になりました。

「子分」か「弟子」かで悩んだところはあるのですが、希少価値として子分になりました。「ししょー」呼びより「おやぶん」呼びの方がいいかな、という形で落ち着きました。
こちらは特別賞狙いでしたので、声優の当て書きとなります。
他二作品も実は当て書きなのですが、そちらは秘密ということで。

初回で一番難産でしたが、そのぶん多くを学ばせて貰えました。まずこれが書けなければ、他二作品も無かったと思います。
ただ一日(初日0時)に全話投稿は正直失敗だったかなとも思ってます。
一番読まれていない。
ちょっと悲しい。



『あなただけに懐いているダウナー後輩と、放課後愛してるゲーム』
https://kakuyomu.jp/works/16817330659674479201
頭の中の後輩が勝手に喋り出しました。
書きました。
以上。

とまあ事実ではあるのですが一旦冗談としてさておき、意識した点はいくつかあります。
子分を書いた上で、この物語は音声として聞いて聴き手側は果たして嬉しいのか?と思ったのがまず一点。
実際、『子分』の環境音とローテンションな語り口はアリだとは思います。
が、それが一般向けかと言われると結構外れているなーと考えた為に、「ダウナー系ヒロイン」かつ「後輩属性」として大勢の人間が関心を向けるものを設定しました。

嘘です。
後輩属性の方は他の全てより優先してアイデアよりも先に設定しました。
ダウナーの方は後付けというか、ものは言いようです。
というか読んだ方の一部にはこれダウナーなのか?と思った人もいると思うのですが、とっつきやすさの他に声優への演技指示にほぼ近いです。
音声化を想定する上では、キンキンした声・喋り方よりはテンションの低いもののほうが望ましい、とも考えて寄せた形でもありますね。

三作品の中では一番読まれていました。週間総合ランキング一位も何日かほどとれたのでよかったです。後輩ヒロインは最高。



『10年間氷漬けになっていたお姉ちゃんは、あなたから離れられない』
https://kakuyomu.jp/works/16817330661534114176
先の二つが根暗すぎるなぁ、と思ったので明るい話を考えました。
途中から暗くなりました。どうして……
でもすぐに立て直してちゃんと明るくなったのでいいのではないでしょうか。そう思うことにします。

「年下の姉」属性は(私としては)キャッチーでありつつ)、クセの強い属性なのでは……と思ったので書きました。
投稿したあとに知ったのですが、キャッチーでもメジャーでも無かったみたいです。そんな……

『子分』は空間は意識した上で、「山」という概念に寄せた形です。
『後輩』は保健室およびヒロインの部屋という各々の中に持つイメージを引き出し、かつ後者はベッドの上と場所を限定することで、聴き手側が意識する要素を減らし簡易にしました。
そして『年下の姉』では、舞台が仮想の「お屋敷」にする都合上、意識した事が二点あります。
・こちらが意図する仮想の空間を、聴き手側が思い浮かぶような音情報・会話情報とする。
・ヒロインの言動により、主人公の輪郭をイメージさせる
企みが成功したのかは謎ですが、試みとしてはいい線まで行けたのではないかと思います。

また、三作目ともなれば力も抜けて、最初に逆張りして遠ざけたオーソドックスな音要素、つまりは耳かきやシャワー音なども盛り込みましたね。
馬車の音など、多少はトリッキーな要素は入れましたが、年下の姉要素の為に異世界ファンタジーかつ聴き手を弟にしたことに比べれば些細なことです。
この作品が三作品の中で一番物語とヒロイン属性の調和として、よく出来たのかなと思っています。



今回、短編とはいえ三作も書けた理由としては、未体験の物語の表現手法・表現意図について探索できたためです。
書けば書くほど浮かぶので途中から楽しすぎでした。
また、内容もいずれの作品も過不足はないと自負しています。

・音要素についてこだわっている台本であること
・ヒロインがかわいく書けたこと
・物語として纏まりよくできたこと(当社比)
この辺は最低でも達成していると思います。

一方で課題となる要素も三点。
・内容が根暗すぎる(正確には「感動系」とか呼ばれる形式でありつつ、読者(聴き手)≒主人公の二人称視点の作劇の都合上、それを許容できるのか)
・選考側がシチュエーションボイスを求めている可能性
・クセつよ要素が見方によっては薄い(マッドサイエンティストみたいなものを要求していた場合)
以上となります。
今回、私が受賞できず、かつ最初に述べたシチュエーションボイス(特に、暗い要素のない)形式の作品が受賞した場合、求めるものが違うことを粛々と受け入れようと思います。
流石にそのあたりについては、いずれも承知の上で書いたので。



応募期間そのものは終了したため、選考結果を楽しみにしたいと思います。
また、現在は読者選考期間となっています。
評価や作品フォロー数によって、中間選考の可否が決まるようです。
なのでそれらが入れば当然喜びますが、ヒロインがかわいく書けたと思うので、まずは読んで頂けたら嬉しいです。
それでは。

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