『君のために用意した家』
『クロコウ!』
『身近にあった【本当にあった怖い話】を集めてみた』
☆をありがとうございました!
『クロコウ!』ご満足いただけたのなら、なによりです!
以下、『君の…』のSSです。
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佐方「どないしたねん、渋谷」
渋谷「この前ね、クレンジングを買って帰って……。家の……。その辺に置いてたんですよ」
佐方「ああ……。ドーラン落とすやつ」
渋谷「そうです。前回の野営の時、顔に迷彩塗ったでしょう?」
佐方「塗った。モジャも着たな。暑かったー……」
渋谷「モジャって言うの佐方さんだけですよ。ギリースーツです」
佐方「あれ着たら俺、森の妖精になった気がするねん」
渋谷「……それはおいといて。とにかく、クレンジングなんですけど……。多紀さんに、ものっすごい誤解されて」
佐方「誤解? ああ! 他の女が使ったやつと思われたんか。あー……。女性用の、結構、ガッツリ目に落ちるやつ使うもんなぁ……」
渋谷「野営で使ったんですよ、って言っても……。ほら……。どこに行くか、とか、期日とか言えないじゃないですか」
佐方「そりゃあ、訓練や、言うて浮気しとってもまあ……。あ、そうか。多紀ちゃんの前の旦那って……」
渋谷「そうなんですよ……。それを使って愛人ところに行ってたでしょ?」
佐方「あー……」
渋谷「多紀さん、『ええ、わかってますよ』って言うんですけど、絶対わかってないんですよ。あの目は絶対疑ってるんですよ」
佐方「女って、そんな目、するときあるよな」
渋谷「だから、お願いです。佐方さん」
佐方「おん?」
渋谷「一緒にドーラン塗って、こうやってクレンジングで落とすんだって、多紀さんの前で実演してくださいっ!」
佐方「はあ!? ひとりでしたら、ええやん!」
渋谷「それだと、ぼくが嘘ついているって思われるかも知れないじゃないですかっ! ふたりでやりましょう!」
佐方「なんで普段の日に顔に迷彩の化粧せなあかんねん!」
渋谷「お願いしますよ!」
佐方「……あー……。もう、しゃあないなあ」