『君のために用意する家』に☆をありがとうございました!
また、昨日はたくさんのコメント、感謝ですm(__)m
さて。
本日の公開で、SSは終了となります。こちらもたくさんご覧頂き、ありがとうございました。
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多紀「そのスーツ、お見合いの時に着ていらっしゃいました?」
渋谷「そうなんです。ぼくが初めて買ったスーツで……」
多紀「そうなんですか」
渋谷「入隊して、一年後ぐらいだったかな。世話になった班長が、幹部候補生の試験に合格されて……。
同期数人と『おめでとう会』という名の飲み会を企画して、班長を招待したんです。そしたら、『ありがとう会』を実施してくださって……」
多紀「へえ!」
渋谷「その店っていうのが、マナーコードのある店で……。同期はみんな大卒ですから、スーツを普通に持っているんですが、そのころ、ぼく、持ってなくって……。慌てて買いに行ったんです」
多紀「18歳で入隊して、そのころ19歳ですか……。確かに、機会がないとスーツってねぇ……。それまでは、学生服で通用しますし」
渋谷「店員さんに相談してスーツを買ったり、同期にネクタイの締め方を教えて貰って、行った店が……。本当に、ものすごく格式が高くて……。もう、見たことのないカトラリーがずらり、と並ぶんですよ」
多紀「あれって、緊張しますよねぇ」
渋谷「そうなんです。だけと、店員さんがちゃんとそこでも教えてくれて……。ぼくらなんて、『おめでとう会』、居酒屋でしたからね。なんかもう、恐縮して……」
多紀「でも、ほら。相手は上司さんですし」
渋谷「そうなんです。班長も、そう言ってくれて……。
というか。前にもお話しましたが、軍に入隊したやつって、家庭にいろいろあるやつも多くて……。あんなお店とかマナーとか、学ぶ機会も行く機会もまったくなかったりするんですよ。だから、班長、『今後、恥かかないように』って……」
多紀「いい班長さんですねぇ」
渋谷「改めて、みんなでお礼を言ったら、班長、自分も若いころ、こうしてもらったんだ、って。だから、『恩送り』をしているだけだから、お前たちも、嬉しかった、と思ったなら〝後輩に恩を送れ〟と」
多紀「渋谷さんや佐方さんって、後輩さんの面倒見、いいですもんね。そういうことがあるんですねぇ」
渋谷「……まあ……。佐方さんはちょっと……。後輩に関して好き嫌いがありすぎますけど……」
多紀「そのスーツ、似合ってますよ」
渋谷「ありがとうございます。多紀さんも、今日のワンピース、素敵です。あ、じゃあ、今日の予約しているお店、行きましょうか」