ギャーギャーと騒ぎながら小型の虫型X獣が飛び立っていく。
なおも地鳴りが続く地面。破砕音が連続して、
――――地面が噴火した。
二キロ先からでも視認可能なほどの溶岩や岩石が間欠泉のように噴き上がる。
もうもうと立ち込める土煙を警戒し、後ずさっていくX獣たち。
その時、ぬっ、と土煙の中から一本の巨大な腕が伸び、一体のX獣の長首を掴んだ。
赤黒い岩石のような皮膚に覆われたその腕の先には鋭利なカギ爪のついた指が五本。それらは逃げようともがくX獣の首元にしっかりと食いこんでいた。腕の主が力を込めると鈍い音と共に首の骨が折れ、X獣は動かなくなる。
「ぐ、ぐぅぅろろろろろろろろおおををををおおお――――――ッ!」
死亡したX獣を投げ捨て土煙を真っ二つに断ち割り、その怪獣は現れた。
暴君龍のような頭部。顎には鍾乳石のような牙。
羆のような直立姿勢。一歩進むごとに筋肉が躍動する。
連なる山脈を思わせる背びれは、太く長大な尾に沿って続いている。
胸の蒼い結晶体を輝かせ、天高く咆哮を轟かせながら、
――――ネクストが現れた。
「ZHEEEEEEEE――――!」
大空から奇声を響かせて悪魔が降り立った。
細く筋肉質な体躯。ノコギリのような細かい歯をあざ笑うようにガチガチと噛みあわせており、鞭のようにしなる尾は絶えず地面を叩いている。カッターのように薄く鋭い刀翼。体には呪術めいた青い紋様が刻まれている。
かつて、港でネクストと対決した|始まりのX獣《ザ・ファースト》。
両者が、再び相対した。