針はかなり長いこと動けなかった。
勾玉を握りしめたまま震えていて、ようやく足が動くようになると地底湖のほとりへと近寄ってみた。
ミナカガチが移動した痕跡の傍に轢殺された鍔が倒れている。
死体を眺めた。
(死んでいる……)
鍔の気持ちは最後までわからなかった。
怪獣を愛しているが故に、勾玉でミナカガチを呼び出し、サナダの戦士団を襲わせた。事実は理解できるが感情が納得しない。
ただ、針は負けたのだなと思う。
鍔の怪獣への愛と、人間への怒りは、針の飢餓感と承認欲求よりよほど強かったのだろう。鍔のように自分の命すらも犠牲にはとてもできないと針は思った。
再び、足元の遺体を眺めてみる。
美しい顔もほっそりとした手足も潰れ、無残にひしゃげている。
死んでいる。
これはどうにも本当に死んでいる。