四十億年の挑戦 第八章『化石化 ARCHEOZOIC』

「ぬっッ! おおおゥりいやっ!」
 変な掛け声とともに岩魚の左腕が引っ張られた。
 赤紫を帯びた半透明の幽鬼の群れをいとも簡単に突破する。
「あなたは……なぜ」
「なんじゃ、攻撃が始まったんに帰ってこんから来たんじゃ。悪いか」
 手を引っ張ったのは、下駄ばきのやや目つきの悪い少女だった。
 須田さより、である。
 離れてしまった左手を少し見た後、目の前に視線を移すと赤紫色の竜巻ができていた。
 中の夢野の姿は見えない。
「もうすぐ化石化現象が始まります」
 竜巻の中から声がする。
「帰ってください」
 それでも動かない岩魚をさよりは腕をつかんで引きずる。
「岩魚さん、あなたはいつもそうでしたね」
 竜巻の中の声。

「本当につまらない人」

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