「今度こそ決着をつけよう」
アルデバランを天高く掲げる。
暖かい光がアルデバランに灯ると同時、アッシュとナイトメアの間に巨大な光のゲートが五枚展開される。
煌星剣アルデバランの刀身に光子が充填されきった時、バキィッと音を立ててナイトメアがアンタレスの拘束を引き千切った。
『……ぁ……あ……ひあああああああああああああああああああッ!』
口元が自由になったナイトメアが吠える。
がこん、と二門の砲門が突き出された。怨恨砲のチャージを開始している。
「いくぞ。夢幻大害獣ナイトメア」
告げるのはいつかどこかで誰かに投げかけたあの言葉。
「その嘘を、斬り払うッ!」
気合の声を張り上げて、振り下ろす。
『我が虚ろ。我が虚ろ。我が虚ろ。汝も我をそう解釈するか。ただそこにあることが嘘だとでも――――――――』
ナイトメアが言葉を発せたのはそこまでだった。
アルデバランの切っ先から解放されたⅰ粒子は数秒前に放たれた光を遥かに上回る輝きを放ちながら、より密度を、さらにその太さを大きくしながら、黄金の五つのゲートを潜り抜けた。
「「世界樹の息吹(ユグドラシル・レイ)!」」
ゲートを超えるたびに、膨大な光量をなおも増しながら光の奔流はナイトメアの下顎へと突き刺さる。
『ひああ、ひあああああああああああああああああああああああああ!』
下顎が勢いよく跳ね上がり口先より突き出していた二門のタワーを粉々に粉砕した。大きく仰け反った巨体を世界樹の息吹が徐々に押し上げていく。
闇を濃縮して作り出されたナイトメアの体が歪み、変形していた。空に向けて打ち上げられるごとに皮膚が溶け、内部の闇が煙一つ残さずに次々と崩壊していく。
それは巨大な光の樹が伸びていく様にも似ていた。
崩壊した東京で芽生えた大樹はその枝葉に狼の体を巻き込みながら天へと伸びていき、やがて消えていき、
――――終わった。
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