標題の件ですが、募集要項を読みすすめるうちに気が移ってしまいました。
この移り気は死ぬまで治りますまい。
20首・20句連作用反古をここにさらして、いささかの恥を得たいと思います。
なにとぞご笑納ください。
・すきをすき嫌ひを嫌ひと言ひしときこの天地《あめつち》は分かれかもせし
・病院の予約はひまな時をこそ選ぶべけれと思ひつるかも
・美徳とふ風まとひたきものなれど臆病といふ名の風ぞふく
・両親と良心はより大事かと思ひたりけり眠られずして
・ゆふべにはなほごきげんに聞こえしが疲れて響くときぞかなしき
・うつせみの世は契約に満ちたればやほよろづ坐《ま》す神の名もがも
・ちと休め張り子の虎が雨くだる
・さしがさの破るる音や花いばら
・賑はへるとなりは鳴くやかんこどり
・ゆめをみるごと月をみて行く夜かな
・鬢《びん》の霜なに置くやらんむぎのあき
・ひさかたの空におほむらさき咲けり
・虫はいさ声とびかふやきりぎりす
・いなづまにかよふ在家《ざいけ》の信者かな
・雪きざむ仏師もあれな禅の庭
・むにやむにやとこてふの夢を寝言かな
・春の夜やよしなしごとを騎士に問ふ
・うんうんと瓜もうなるや盤の前
・生誕会《せいたんえ》それは蕪村か漱石か
・恥かきに秋山いづる天狗かな
・はへ取りや死してそのまま地縛霊
とりいそぎ。
※ 短歌と俳句の読みは現代かなづかいです。