★★★ Excellent!!!
限りなく一般文芸よりのライトノベル、あるいはライトノベルをよそおった一般文芸であろうと思った。挿し絵はもうしわけ程度の口絵のほかは章のはじめに簡素な絵が載るだけであり、巻末には参考文献が載っている。
著者の処女作のようだが、文章はこなれていると感じた。小説の題名や作中の人物の名もくるしくないと思う。
わたしが引き込まれるようになったのは五章の半ばころからだっただろうか(小説は全九章で、それに加えてプロローグ、エピローグとあとがきで構成される)。気のきいた感想はいえないが、うつくしい物語であった。