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ブッシャリオン企画資料

 書籍化記念・ブッシャリオン蔵出し設定資料。
 作成日時が2015年7月25日。確かリブート前、ゲーム会社に務める悪友Kから「この世界観ゲームにしない?企画出すからさ」的な話が出た時に作ったもの(企画はボツった)。
 ノイラさんの名前以外は今でも殆ど変わりません。
※第二部~三部あたりのネタバレが含まれるので注意。



世界観設定
 徳エネルギーによる理想郷が生まれて二百年。善行を糧とする無限のエネルギーによって人類は平和と繁栄を謳歌していた。
 だが、その平穏は突如として打ち破られた。世界規模の強制成仏現象『徳カリプス』。暴走する機械生命体『得度兵器』。
 世界の人口と徳の大半が失われ、栄華を極めた徳エネルギー文明は一夜にして崩壊した。
 徳無き荒野で果て無き浄土を夢見、人々は今日も生き続ける。


・用語

徳 
 生き物が善行によって持つ力。現在の宗教の『徳』と概ね同じ概念だが、徳エネルギー普及に伴って人類に共通の価値観となっている。
 人が最も効率的に徳を積むことができるとされ、高い功徳を持つ者はその功徳から取り出された徳エネルギーによって更なる徳を積むことができる。
 人間以外の生物にも一応徳を積むことはでき、大気中の徳レベルは、大気中に浮遊する細菌やウィルスの徳によって定義されることが近年の研究から明らかになっている。
 但し、機械や無生物には徳を積むことはできない。
 徳の極めて高い人間の遺体(ソクシンブツ)や骨(舎利)などには高レベルの徳が遺されており、徳遺物と呼称される。
 
徳エネルギー
 形而上の概念である徳から、徳ジェネレータによって実体化されるエネルギー。
 徳カリプス以前は人類の文明を支えるエネルギー源であった。
 嘗ては徳エネルギーをそのまま用いることもできたが、徳カリプス後は専ら熱や電気、水素といった通常エネルギー(不徳エネルギー)に変換して用いられる。
 得度兵器は徳エネルギーを直接動力としている。

徳ジェネレータ
 徳から徳エネルギーを取り出す徳エネルギー文明の根幹を成す技術。
 徳の源には生身の人間を使うのが最も効率がよく、また、発生した徳エネルギーによって功徳が更に積まれるため、再成功率が高い。
 徳は人類の生命維持には特に関係ない要素のため、徳ジェネレータ内の人間は生命や健康に殆ど影響は無いものの、法悦を感じることがある。
 徳カリプス以後、徳ジェネレータの起動に必要な徳レベルを持つ者は貴重なため、即身仏等徳遺物による起動が行われている集落も多い。
 高徳増殖炉の実験による事故が徳カリプスの発端と囁かれる。

徳カリプス
 人類の徳の積み過ぎによって引き起こされたと言われる連鎖的強制解脱現象。
 強制成仏とその後のパニックによって世界人口の少なくとも半数以上が失われ、文明は崩壊した。 
 強制解脱現象は徳レベルの差が一定値を超えることによって発生する。
 徳カリプスでは、最初の成仏によって徳レベルの空乏が生まれ、成仏的な連鎖が発生した。
 得度兵器は徳エネルギーによって人工的に強制成仏現象を引き起こす『成仏兵器(徳エネルギー兵器)』を持つ。

徳エネルギー工学
 徳エネルギーを扱う学問。徳ジェネレータの製造などに欠かせない分野だが、新しい分野であること、基礎理論があまりに難解であることからその数は少ない。
 加えて多くの徳エネルギー技術者は人類へ貢献するという高い功徳を積んでいたため、大半が徳カリプスによって失われた。
 徳カリプス後(A徳歴)10年現在、徳カリプス時に偶然無人地帯や宇宙に居た四名(現在は三名に減少)のみが生存している。

得度兵器
 徳カリプスによって『解脱こそ人類の究極の救済である』という結論を得た機械生命体群。
 元々は人類に奉仕するために作られた機械知性体。
 全人類の解脱、そのための徳の確保を最優先としているが、彼等のエネルギー源もまた徳エネルギーである。
 人類を捕獲し、より効率よく徳を詰ませる。或いは直接解脱させるといった行動が確認されている。
 多くの個体は自己増殖・修復機能を備えている。
 徳カリプス後に急激な増殖や形状の変化、大型化を引き起こしており、何らかの人為の介在も疑われる。
 二足歩行型の『タイプ・ブッダ』、飛行型の『タイプ・ガルーダ』などが確認されている。

舎利ボーグ
 徳移植計画の産物。人体と徳遺物の融合をコンセプトとして生み出されたある種のサイボーグ。
 体内に徳ジェネレータを内蔵し、高度な徳エネルギー制御能力を持つ。
 その半身の構造は得度兵器に近い。そのため、徳を積むことはできるが解脱はしない。 
 複数の成功例を産んだが、あまりのコストパフォーマンスの悪さからマニタービンの実用化に伴い放棄された。
 シャリオンを含め数人が稼働中。

徳クローン
 聖人や高僧などの徳の高い人物をクローニングした人間。広義では、徳を積ませるための遺伝子改造を施した子供も含む。
 効率的に徳を積むことができるばかりか、一部は徳エネルギーを生身で制御する異能(恐らく、オリジナル達が生前行使したであろう奇跡)を部分的に再現するにまで至った。
 しかし、費用対効果や生命倫理の問題などから徳カリプスより以前に研究は凍結された。
 クーカイはこの『成功例』の1人である。

禁戒地
 得度兵器が侵入できない安全地帯。多くは人類の拠点となっている。
 その正体は過去の法令によって定められた無人機械(ドローン等)の制限エリアである。

・キャラクター
ガンジー
「徳って、何なんだろうな」
 徳遺物を採掘する『採掘屋』を生業とする青年。家族を徳カリプスによって失った。
 そのため、徳を積むことや徳エネルギーについて懐疑的。
 口調が荒く短期だが根は善良であり、いざというとき頭がキレる。
 尚、彼の名前は徳カリプス以前の流行(徳の高そうな偉人の名前にあやかる。徳ネームと呼ばれる)であり、ガンジーとは何の関係もない。

クーカイ
「そんなこと、俺が知るか」
 ガンジーの相棒。やや年上の青年。偉丈夫。概ね冷静な常識人。車の運転や爆発物の取り扱いが得意。
 実は徳クローンの1人であり、『空海(弘法大師)』をオリジナルに持つ。限定的ながら徳エネルギーの制御能力を備える(但し副作用で毛が抜ける)。
 
ガラシャ
「かみさま、しんでください」
 徳カリプス後に生まれた少女。徳かリプスに遭って尚徳を積み続ける人々の集落で育った。歪な心の持ち主。
 徳そのものを信じていないが、本人の意志に反して高い徳を持つ。

シャリオン
「衆生の全てを救うには、きっと神様になったって足らないな」
 舎利ボーグ(サイボーグ)の黒衣の女性。徳カリプス以後は満足なメンテナンスも受けられない身体に、得度兵器の残骸を継ぎ足しながら生きている。
 そのために得度兵器を狩り旅をするも、半身が得度兵器であるため人間の集落に長く留まることはできない。説明ベタ。

ハーフブッダマスクの男
「人類は、徳を積むのに向いていない」
 顔の半分を仏像型マスクで覆った怪人。徳カリプスによって人類に見切りをつけ、今は自らの研究のために得度兵器たちに『協力』している。
 徳エネルギー工学を理解する四人(三人)の1人。その肉体の大半は舎利ボーグであるが、己の功徳のみを原動力に稼働するプロトタイプ。 

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