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〇月△日

女性に大人気の石鹸屋で貰ったサンプルは、彼との思い出を吐き出すように脳内に染み渡った。私はまだ目視出来ていない紙をコートの中から取り出してゴミ箱に捨てた。奥底に沈めた。私の腕がゴミ箱に収納されていく中、どんなゴミが私を掠めたか分からない。一人で飲んだくれて、息を吹きかければ無くなってしまいそうな意識のまま使用したメイク落としシート。季節の変わり目が苦手で一生鼻をかみ続けたティッシュ。爪を切るためにティッシュを用意するのが面倒で、直に落とした爪。こんな、彼を忘れるための日常達が、私の嫌な思い出をかき消してくれる。いや、かき消してくれると信じながら、奥へ奥へと手を伸ばしたのだ。

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