今回は児童文学です。
『ほらふき男爵の冒険』G.A.ビュルガー:編 斉藤洋:文 はたこしろう:絵(偕成社)
Han Luさんのところでkobuupapaさまが話題にしてるのを見かけた後、図書館で見つけたので手に取っちゃいました。ドイツで伝えられていたほら話をミュンヒハウゼン男爵の語る物語としてまとめられた世界的に有名な物語ですね。
男爵は話が上手なだけじゃなく洒落も大好き。
「さすが料理人! コックだけあって、ククはうまいな。だが、どうせ九九、八十一までしかいえんのだろう。」(p79より)
とか、しょーもないことを言っていたかと思うと、含蓄のあることもおっしゃってくださいます。
「そもそも女性に服従させようなどという了見がまちがっている。女性に服従させるのではなく、いかに女性に奉仕するかが、男の人生の醍醐味なのだ!」(p135より)
きゃああ(≧◇≦) 男爵すてき。惚れてまうやろー。男爵はジェントルマンなのでありました。
『金髪の髪のお姫さま チェコの昔話集』カレル・ヤロミール・エルベン文 アルトゥシ・シャイネル絵 木村有子訳(岩波書店)
実はちょっとマイナーなお国の昔話を読むのにハマってます。各国共通の話型がみられて面白いです。バルカンの昔話に日本の羽衣伝説そっくりなお話があったり、スロバキアの民話に一寸法師そっくりなお話があったりするのはちょっと驚きです。
話を戻して。原書はアール・ヌーヴォーの時代のものらしく、この『金髪の髪のお姫さま』はとにかく挿絵が美しいのです! なんと、本文挿絵もフルカラーという豪華さ。衣装の細部、道具類の細部にまで優雅な模様が描かれています。ロイヤルな人物たちのドレスやマントのひだまで美しい。ベッドに臥せている王様の枕元にちょこんと王冠が置いてあったりするのが可愛い。ニワトリに担ぎ出されたイタチの王様が王冠をかぶってローブを羽織ってちゃんと王笏と宝珠を持ってたりするんです。コワカワイイ。
それと人体の動きもよーく表現されてます。表情も味わいがあって。洞窟の中の何十羽もいるフクロウの表情がみんな違っててかわいい~。
「火の鳥とキツネのリシカ」というお話(金のりんご型のお話です)では、王子に選ばれるのを待ってる三人のお姫さまが「だーれだ?」って感じで王子様の顔を覗き込んでるのが可愛くて可愛くて、ワタシだったら全員お持ち帰りしたーい!(一番ダメな選択) キツネのリシカがふさふさのしっぽを振ってキツネ道を出したり消したりする描写も可愛い。もふもふに目覚めそうになりました。いや、リシカって雛鳥を人質にして親ガラスに命の水と死の水を取ってこさせたりとかなりダークなんですが。それというのも王子様が兄王子たちに殺されて細かく切り刻まれちゃったからで。ひょえ~~ですね。
文章も素敵でお話も面白い。超おすすめの一冊です。噂では、2012年の刊行だというのにもう廃刊になってるらしいですが……。悲しいですね。
以下は個人的メモです。
『ホメロスの世界』藤縄謙三(魁星出版)
『ギリシア神話1 イーリアス物語』高橋睦郎著 原田維夫絵(三省堂)
『ギリシア神話2 オデュッセイア物語』高橋睦郎著 原田維夫絵(三省堂)