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「空気の刑」 初期稿

「空気の刑」(https://kakuyomu.jp/works/16817330654580208390)を投稿しました。
2016年8月3日に書いた「押された」を修正してアップしています。当時のものは一人称で語るものが多いんですが、これは完全に怖い話の書き方を参考にしていたのが洒落怖スレまとめだったせいですね……。参考にしてたのに、よく語り手がしんでたパターンが多かったです。


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「空気の刑」


 ついこの間の話です。
 体験者は私です。

 私の学校にはスクールカーストというものがあります。といってもどこにでも大なり小なりあると思いますが。
 誰が下で誰が上に位置するのか、それは皆の雰囲気で決まります。
 誰よりも下にされてしまった人は悲惨です。
 無視はあたりまえですし、目が合うと笑われます。指をさしてヒソヒソ。そんなことが毎日毎日続きます。 
 被害妄想ではないのです。
 それで何人か不登校になりました。
 「空気が読めない」人がよく標的になります。
 私は自分がいつ、皆の下になっても変わらないと思いました。
 が、結局私は変わりました。
 学校ではいつどこでもヒソヒソ言われ、家でも視線を感じたり声が聞こえたりするのです。これは私の妄想です。
 分かっているのに収まらないんです。
 不登校になった子の気持ちが少しわかりました。
「ねぇ、元気ないね」
 だから最近は標的になった子に話しかけることにしています。
 彼女ら、もしくは彼らは卒業時には笑顔で私のことを親友といって去っていきます。代わり、と言っていいのか怪しいのですが、カーストの上位になる人間は卒業する一か月前にはいつも学校に来なくなります。
 私のおかげで。
 
 私、自分で思うほど強くなかったんです。

 無視されて、最後に話しかけられました。
「飛び降りろよ」
 クラスの全員が私に向かって言いました。勢いに押されて、ベランダの手すりに足をかけます。
 二階とはいえ足がすくんでしまって私は動けませんでした。
 そこを誰かに押されたんです。

 問題にはなりませんでしたよ。


 でも地縛霊っていうんですかね? そういうものになってしまって。
 自分と同じ境遇の子に話しかけるんです。
「一人じゃないよ、大丈夫だよ」
 って。
 その子たちが「空気」に負けず、夢への一歩を踏み出す姿を見るととてもうれしいんです。でも、ダメですね。スクールカーストの上位でかつ、その子たちを虐げる人間を見るとどうしても思い出すんです。

 突き落とされた瞬間の記憶を。

 だから私と同じ目にあってもらってます。


 駄目な事だと理解してるんです、頭では。
 でも心では納得できないんですよね……。
 どうしようもないのでスカッとするまで続けることに決めてます。

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