僕の好きなバスケ漫画に『あひるの空』という作品があります。
ストーリー中盤に、初期から部に在籍していたメンバーの一人が退部してしまうエピソードがあり、読者の間で賛否両論を巻き起こしました。
『あひるの空』は、作者の日向武史先生の言葉を僕なりに解釈すれば、「痛みという形で心に残る作品」を目指したとの事。
そういう意味では、リアルで運動部を経験し、そしてついて行けなくなった側の人間の心情を赤裸々に綴ったあのエピソードは、『あひるの空』のテーマを消化するにあたって不可欠なエピソードだったように思います。
少なくとも、僕には強く刺さりました。
部活もの・スポーツものという題材で、王道的なスポ根サクセスストーリーの真逆を行くようなエピソードが、こんなにも生々しく心を穿つのだと。
だから、拙作『ファイトオーバー!』27話から始まる一連の流れは、『あひるの空』への答辞です。
良いお話をありがとう、僕はそれを受けてこんなものを書きます――という。