おとといの朝、菊花が息をひきとりました。四年前の秋、寒風のなか母親に見捨てられて窓際で震えていたところを保護した庭ねこで、最初に部屋に入れてチェストの上に置いたとき、まるで「このオッチャンにする!」と言わんばかりに肩の上に跳び乗ってきたのが衝撃的でした。もともと食の細い虚弱な女の子でしたが、チャオチュールが大好きで、ご主人様の手にあるのを見ると、もう嬉しさをこらえきれなくなって、いつも反時計回りにくるくると、二度も三度も回ってみせてくれました。目ヤニがひどく、拭いてやろうとすると前足でイヤイヤしながらそれでもノドを軽くならしたりしてくれました。過保護にしたせいか、同居の先輩ネコたちよりご主人様一択のような生活ぶりで、抱っこされるとよく「踏み踏み」してきました。とはいえ、猫らしいツンデレぶりもあり、そんな時はイジメて「ツンするな」と注意してやりました。これまで、ひどく体調をくずして何度か点滴や抗生薬のお世話になっており、その度にがんばって立ち直ってくれてきたのですが、今回はとうとう腎臓が持ちませんでした。菊の季節にやって来て、菊の季節に逝きました。きのう、きょうと素晴らしい快晴で、もう一度だけ、庭で大好きなひなたぼっこをさせてあげたかったと心がのこります。
母が死んだのも、菊花がいなくなったのも、夢や幻なんかではなく、現実にしるされたことなんだと感じて、どうしようもなく虚しく心が痛みます。でも、一緒に過ごしたたくさんのシーンを思い出していると、命って楽しむためにあるんだな、ありがとうと、感謝と愛しさで目頭が熱くなってしまいます。
もう、厭だ …