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🔴「💞霊視するゴスロリ女子大生」、第4話 成仏するの?しないの?

🔴「💞霊視するゴスロリ女子大生」、https://x.gd/HDGIY
💞人に憑依する悪霊を退治していくゴスロリ衣装の女子大生、真中真理子
🔵加賀山代温泉編
 第1話 雪の残る湯宿
 https://x.gd/dInKB
 第2話 とびっきり変わっている娘
 https://x.gd/mAVym
 第3話 奈津子
 https://x.gd/FUcEx
 第4話 成仏するの?しないの?
 https://x.gd/cwXAv

「……ええ?」

 佐藤は呆然と呟いたまま、言葉を失った。マアちゃんは佐藤の胸に頬を寄せ、その冷たい吐息で彼の肌を撫でながら、静かに、そして淡々と続けた。

「つまり、奈津子さんが表に出てきて、私が意識の奥に引っ込んでいるとき……その瞬間に佐藤さんが私を抱いて、私が、いえ、この肉体が果ててしまったら。表に出ている奈津子さんの意識は満足し、すべての未練を解消して成仏しちゃうんです。天国へ行くのか、無に還るのかは知りませんけど。でも、私が表に出ていて、奈津子さんが私の意識の裏側で見て、感じているだけなら……奈津子さんも私の体を通して快感は共有してしまいますが、彼女自身が『主体』として果てたわけじゃないから、成仏はしない。だから、ずっとこうして、三人で一緒にいられるって……」

 佐藤は瞬きもせずにマアちゃんを見つめた。理解が追いつかないほどオカルトで、けれど残酷なほどに純粋な理屈。胸の奥に熱いものがこみ上げてくる。
「……それって、本当にいいのか? マアちゃん、キミ自身にとって、それは……」
「私は……」マアちゃんは少し恥ずかしそうに微笑み、佐藤の首に細い腕を回した。「私、佐藤さんのこと、好きになっちゃったし……。それに、奈津子さんも、今、私の心の中でこんなに幸せそうに笑ってる。だから、いいんです。私、しばらくはこの歪な形のままでいたい」

 その瞬間、マアちゃんの声音が微かに揺れ、奈津子の震える声が重なった。 「和人さん……ごめんね、わがまま言って……。でも、もう二度と、あなたと離れたくないの」
「ありがとう……ありがとう、マアちゃん……奈津子……」佐藤は堪えきれずに涙をこぼしながら、マアちゃんの肉体を借りた奈津子を、壊れんばかりに抱きしめた。

 雪はまだ音もなく降り続いていたが、夜明け前の空は少しずつ、冷徹な薄紫に染まり始めていた。部屋の中は、石油ストーブの放つ熱と二人の体温で湿り気を帯び、汗と涙と、濃密な吐息が絡み合って、この世のものとは思えない重苦しくも甘美な空気を生んでいた。

 佐藤はマアちゃんの細い肩を抱きしめたまま、震える息を吐いていた。錯覚かもしれないが、奈津子の声で、奈津子の匂いで、奈津子の鼓動で、確かに妻がここにいるという現実が、信じられないほどに胸を締めつけた。

「お布団に行きましょうよ」

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