🔴「👗彼女の姉は何者だったのか 第3,4章」
凜花の前に現れたゴスロリ衣装の謎の真中真理子。
凜花のT大学入学から驚愕の終幕の第3,4章
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第8話(1) ニューヨークの彼女たち、空港
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〔👗ニューヨークの彼女たち、空港〕
ターミナル4の到着ロビーを抜け、イミグレーションのレーンに並んだ。
真理子は……。
漆黒のゴスロリ衣装。フリルとレースが幾重にも重なったジャンパースカート。ヘッドドレス。白いレースの手袋。パニエで膨らんだスカートの裾が、隣のレーンの旅行者に当たりそうになっている。
周囲の旅行者が振り返る。子供が指を差す。でも、誰も声をかけない。ここはNYだ。
問題は、イミグレの職員だった。
四十代の白人男性。疲れた目。真理子たちを頭からつま先まで見た。真理子のゴスロリ。明美のミンクのハーフコートとトナカイのセーター。凜花の「NY!NY!」という小声の呟き。
職員が手招きした。「こっちに来い」
別室に連れて行かれた。狭い部屋。パイプ椅子。蛍光灯。
「職業は?こちらへの渡航目的は?売春目的の疑いがある」
凜花が「売春って何?」と日本語で聞いた。遥が「後で説明する」と小声で返した。
真理子がアンヌと女将さんに目配せした。
「アンヌ、女将さん、米国政府の招聘状をこの猿に見せてあげてぇ~」
アンヌと女将さんが、カバンから書類を取り出した。東大と東京都のマークの付いた英文の招聘申請書。米国政府の公印が押された招聘状。NY州政府の招聘状。それをイミグレのカウンターに、静かに、しかし確実に叩きつけた。
職員の顔色が変わった。書類を手に取り、読んだ。もう一度読んだ。
苦々しい表情のまま、パスポートを一冊ずつ手に取り、日本では最近見ない入国スタンプを押した。六冊。返却した。
「ファックユー、ジャップビッチ!」
小声だったが、真理子の耳には届いた。
「ですわ~、NYのイミグレって、品がないですわねぇ~。衆議院の予算委員会の野党並!」
「真理子、空港でそれを言わない」アンヌが小声で制止した。
「あんたたち、荷物受け取ってから騒ぎなさい」恵美がさばさばと言った。「あんた、喧嘩売りに来たのかい」とため息をつく。
「ファックユーってなに?」と凜花が聞いた。
「あなた、大学生でしょ」遥が顔を覆った。
六人は別室を出た。
荷物受け取りのターンテーブルに向かいながら、真理子がパニエを揺らして言った。
「NYのイミグレって、品がないですわねぇ~。衆議院の予算委員会の野党並!」
「もしも、ゴスロリ衣装の真理子がタイムズスクエアを闊歩すても誰も止めない。これがNYなんだろうな」
「ですわ!この街、私向きですわ!」
明美がスマホでマップを開いて「どの店から行く?フィフスアベニュー?ソーホー?」と真剣な顔をしている。
凜花が「NY!NY!NYだ!」と意味不明に叫んでいる。
遥が「契約金あるんだから何でも買えるわよ。問題は何を買うかよ」と冷静に言う。
悠馬はいない。お留守番。