「日出処」めっちゃ聴いてる。アルバムとしては「勝訴ストリップ」の雰囲気に近いかなぁと思った。そこに東京事変時代のバンドサウンドとか色々入ってて、椎名林檎の進化を感じる。
若いころに売れてしまった人の、過去の名声にとらわれて身動きが取れなくなっていく過程を見せられるのは辛い。
でも椎名林檎やデビットボウイはそうではなくて、年齢にとらわれず、低くなったキーを魅力にして、人生経験のすべてを作品につぎ込んで受け手に送り出してくれる。そこには驕りも怠慢もなにひとつなくて、圧倒されてしまう。若いころの怒りや疎外感が徐々に開かれたものになっていく。「日出処」の椎名林檎は清々しいことこの上ない。生きる、というのはこういうことなんだ、と改めて感じた。
個人的には「ちちんぷいぷい」「いろはにほへと」「ありあまる富」が良かった。初期の椎名林檎作品の音色のオマージュ? っぽいのもあって、ファンサービスが充実してるんじゃないかな。私は音楽やらないからわからないけど、ばんどぼーい&がーるずはこういうのわかるのかもしれない。
ほんとにほしいものなどただ一つ、ただ、ひとつだけ。だよねわかる。「STEM」の頃の林檎さんは祈りながら倒れてしまいそうだったけど、「カーネーション」では凛と佇んだまま、という感じがする。かっこいい。
「今」は「薄ら氷心中」みたいなイメージで素敵だった。
「静かなる逆襲」もかっこいいんだな……。「NIPPON」も大好きだ。
年を重ねるごとに、どんどんPOPに進化していく気がする。この先も楽しみです。