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今日読了した作品の感想を書くよ。

昨日もノートに書きましが、今日はレビューも書きました。
とても。とても。とても。好きな作品でした。
ねじさん 日当たりのいい家
みんなも読んでみてね!

文章の密度がすごくて息が詰まりそうになるので、三ページずつくらいを読むのがおすすめです。一文たりとも見逃せない。そんな気分になります。

美味しそうな料理の描写も多いのでこれがいわゆるフードポルノ小説版…と思いながら読んでいた節もあります。
なによりお菓子を焼ける男の人ってすごくないですか…。ちょっと私の生活圏には存在していないかもしれないです。
いちじくのタルト私も食べたい(タルトなんて製造工程が多すぎて作ったことないです)

ゆすらの感じている孤独や不安に共感しながら、震えながら読んだ。
途中真剣に鳥肌を立てていた私の表皮は何に恐怖していたんでしょうか。
感動ですかね、謎です。
でも背筋がぞくぞくっとする読書体験は生まれて初めてかもしれなかった。
この感性を小説にここまで落とし込んだ人を私は初めて見た。



あとすごい個人的な話になるんですが

「私が可哀想で結婚したの?」

っていうセリフは刺さったなー。ぐさっと。

わたしも些細なことに動揺してしまうタイプなので、木崎さんみたいな表面上何事にも動じないように見える人には弱いです。一緒にいると安心します。喋っていると自分の感覚がフラットになる感じがするんですよね…。自分の未知の世界を感じられるというか。

ゆすらはすごく色々なタイプの愛情に恵まれているんですよね。
でも愛情って一口に言っても内容は千差万別な気がします。
些細な変化を肌で感じられるだけに、ゆすらは苦しかったんじゃないかな。
なにかを投影されたりするたぐいの愛情はとても苦しい。
人を殺すタイプの愛だと思います。
けれども注いでいる本人は気がつかない、たちの悪いタイプの愛。
両親からの愛も失い、周囲からの悪意のない視線にさらされ、一回死にかけたゆすらの前に現れたのが木崎さんだった。

閉じた家の中で。こもりながら、ひきずり出されながら、もまれながら。
物語の中で、ゆすらは小説家として羽化します。
たぶんそれまでは自分の中に目をそむけていた部分があったと思うんですよね。でも幼馴染と、夫と、自分を対比させながら、ある意味客観的な視点を手に入れていく。同じ部分、違う部分、恵まれたところ、憎まれたところ。すべてを受け入れて。家の中で、夫婦としての距離を確立しながら、才能としてすべてを昇華していく。そういう物語かな、と思いました。

おなかいっぱい。私も美味しいご飯作ろう。

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