結果的に時雨心地シリーズは4作もあって、タイトルとキャッチコピーだけ並んでいてもとっつきにくいというか、みなさんの興味を引く機会を逃してしまうのかなということもあり、読んでいてもうまく整理が追いつかないかもしれないなということもあり、簡単にご紹介させていただこうと思いました。
時雨心地シリーズは同じ世界の中で描かれる、それぞれ別の物語です。
(作風とか楽しみ方というのは意図的に分けているので、全部読んで欲しいなとは言えません)
作中ではほとんど明示されませんが、だいたいは『逢館市(おうだてし)』という地を中心にして進みます。
このシリーズは、常に何かしらの形で創作(小説・短歌・漫画)が深く関わるものでもあります。
作品内での年代順に、紹介していきます。
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■時雨心地がぬぐえない
https://kakuyomu.jp/works/4852201425154875792物語の開始時では、2002年の晩夏です。
シリーズの始まりであり根幹で、後にも強く影響をもたらし続ける文才の持ち主、藤ノ木篤芽を主体として描かれます。
ちょっと少女小説っぽい語り口にしていて、コミカルな点もあるんですが、例えば〈『雪映りの雪』より抜粋〉の部で、157km/hのカットボールを投げたり(比喩)することもあります。まあ実験的な要素もあるということなんですが。
基本的には、テンポの良い会話を主として構成されるように努めています。
■早少女では一が余る
https://kakuyomu.jp/works/11773540548854959072006年春に始まります。『早少女では一が余る』については、実は逢館市から少しずれています。近いですけど。
短歌をテーマに据えて、本当はコメディ調にするはずが、もっと全然シリアスでした。
普段の語り口で言えば『時雨心地がぬぐえない』よりも堅いです。
まだ序盤なので、下手に何か言うと自爆します(ので解説はここで切り上げます)。
なんか、小説指南書としても地味に有用らしいです(ある人の証言による)。
■夏の言霊
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884263388実はこれ作中で明らかにしていませんが、2017年夏の物語です。
“『時雨心地がぬぐえない』の15年後である”という色が濃く、関連性は強いです。正統な続編と言うと違うのでしょうが、同じ世界の《過去》と《未来》というような色合いになっています。
《未来》においては、大楠結真という圧倒的文才が、高校生ながら物語を牽引することになります。
文体は最も重くしてあって、それはまだしもR15(性描写による)になっているのでご注意ください。
体裁としては「純文学」のタグが付いていて、豊潤な文章を理想としますので、ストーリーがなかなか進みません。
■彩糸
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885606328やっぱり明示していないはずですが、2018年晩秋に物語は始まります。
番外編としての色合いが濃く、他の3作との関連性はあまりありません。
ソフト百合です。はっきり少女小説っぽくなってます。ライト文芸というタグにもなってます。
あとは、“糸子先輩”のキャラクターだけで楽しめるよう努めています。
他3作は文章創作でしたが、この作品の中心にあるのは漫画制作です。
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(読んでくださった人、そしてこれを書き終えた僕に)お疲れ様でした!