短編『染まって染められる春』のあとがきという名の裏話です。
まずは、短編『染まって染められる春』を読んでいただいた全ての方に、お礼を申し上げます。
ありがとうございます!!
評価をしてくれた方、応援やコメントをしてくれた方、本当に本当にありがとうございます……!
本作は、僕としては初の試みです。
何がというと、BLが。
BLは、個人的には結構読みます。漫画もいいんですが、なぜかBLだと小説媒体のほうが好きなんですよね。GLは漫画も小説もどっちも好きなんですけど、BLは文章のほうが独特な空気感が強く感じられるような気がしています。
ただ、書くのは初めてということで悩みに悩み、男の娘BLにしました。
あのね……僕ね、あれなんですよ。
男の気持ちを描くよりも、女心が入り込んでいる男の気持ちを描くほうが、やりやすいんです。
僕自身は男ですが、昔から女性に囲まれて生きてきて男友達がそれほど多くはなかったためか、自分自身ザ・男性脳! みたいな感じではないんですよね。幼馴染からはどっちの気持ちもわかると言われますが、正直男性より女性に対して共感することのほうが多い気がします。
男の娘にしたのは、そんな僕が初めてBL作品を書くうえでの苦肉の策です。
ただ、純粋に男の娘が好きだとか、たまたま好きになったのが同級生の男で、その彼のために女装まで覚えてしまう展開が好きだとか!
そういうのも理由のひとつです。むしろそっちがメイン!
あと、主人公のハルくんは、どんどん女の子っぽく染められていっています。
本作を読んで「なんかあまり男っぽい心理描写じゃないな」と思った方がいれば、それは正しいです。あの瞬間、ハルくんは女の子でした。だけどやっぱり男でもあるから、ザ・女の子みたいな思考でもありません。
そういうところがあり、タイトルに地雷回避のため【男の娘BL】と明記しています。僕の周りのBL好きの女友達はみんな、「かわいい男の子は好きだけど男の娘は違う!別ジャンル!」と力説しているので……。
しかも僕自身、その気持ちがわかるので地雷避けを入れました。
次は、女装や男の娘ではないBLも書きたいですね。
さらに、本作には僕としては珍しい点がもう一つあります。
性描写があることです。
ダウナーお姉さんの短編にはキスシーンがありましたし、おっぱいおっぱい言ってましたが、あまり踏み込んだ性描写はありません。
ところが、本作にはちょっぴり踏み込んだ性描写があります。耳なめASMRをしながら何かを想像してどんどん興奮してしまうところとか、膨らみ(意味深)に目が行くところとか手を伸ばすところとか。
あの後どうなったかは、ご想像におまかせします。
性描写は、結構気を遣うところでした。
同人エロゲ用のシナリオを作っていたこともあるので不得意ではないとは思いますが、生々しすぎてもいけないしかと言って綺麗すぎるのも、僕はあまり好みではないので、結構気を遣います。
今回は結構綺麗寄りな描写でしたけどね。
また、本作で意識した点として、ほかにも色彩があります。
※ここからは裏話というより、若干解説感があるのでご注意ください。
普段、ファンタジー長編とかではそれほど意識して色彩描写をしていません。しなければならないところだけ、しているという感じです。あまり色で印象付けるような物語じゃないというのが、理由。
ただ、本作はしなくてもいいところでも色の表現を入れています。
鏡を見るシーンではネイビーブルー。
歩くシーンでは桜色。
キスをするシーンでは紅。
紅い唇を強調したのは、ハルくんの女の子感を強調するためです。”彼”は女装もしていない普通の男性で、唇の色は自然な色。
一方ハルくんは女装をして、メイクまでしています。ハルくんが女装をしているということ、”彼好みの女の子”に近づいていることを対比によって強調したかったためです。
あと、インナーカラーをネイビーブルーに染めるというのも暗喩のつもりで書いています。
内側を彼の好みで染める、という感じですね。
表面上、ハルくんは学校や家庭などでは普通に男として振る舞い、過ごしています。それでも彼の好みに近づけようとする乙女心のようなものが、彼の中には芽吹いていて、外見だけでなく内面も確実に彼の色に染まっている。
だから髪全体を染めるのではなく、インナーカラーという形にしたかったんですよ。
寒色を描写した後にほんのりとした紅という文言を入れて、唇をあらかじめ強調しておきたかったというのが、色をネイビーブルーに決めた一番の理由です。
あと、色々な髪色を調べてビビッときたのがネイビーブルーだったというのもあります。
青系の色って、現実だと結構薄いことが多いんです。ブルージュとか、ブルーアッシュとか、めっちゃ青!という感じじゃないんですよね。
もちろんめっちゃ青いのもあるんですが、そっちはそっちで鮮やかな青すぎるんです……。
色々なヘアモデルさんの写真を見て、一番ちょうどよかったのがネイビーブルーでした。
いやあ……おかげで青系の髪色に詳しくなったでえ……。
あと、ASMRや耳舐め系音声作品という要素を入れたのは完全に趣味です。彼の前で何かエロく感じるようなことをさせたかった、というのもあります。
間接的なことから興奮を高め、彼もまたハルを意識して直接的な行為に……という展開がやりたかったんです。
それにしても、本作はなんか語りたい事が多くて裏話が多くなりましたね。
Twitter(X)でほとんど語っていなかったからというのもありますが……。
最後に、もう一度お礼を申し上げたいと思います。
本作を読んでくださった方、コメントや応援、評価をくださった方、本当にありがとうございました!!
誰か一人にでも刺さったのなら、僕としてはとてもとても嬉しいです。