https://kakuyomu.jp/works/16817139556526915372/episodes/16817330656127738057◆文語和歌ver
岩を穿ち砕ける波がおのれなら
いざこころみむ 恋ひや死ぬると
◆現代語短歌ver
岩を穿ち砕ける波が自分なら 試そうじゃないか恋は致死かと
◆現代語訳
岩をうがって砕ける波が自分ならば さあ試してみようじゃないか 本当に恋焦がれただけで死ぬのかどうかを
・人の身もならはしものをあはずしていざこころみむ恋ひや死ぬると(古今集五一八 読み人知らず)
(人間の身体は慣れるものだというのに逢わずにいる(ことがつらい)。さあ試してみよう、恋で死ぬかどうかを)
の本歌取りですが、岩を詠み込んでいるあたりで
・吉野川 岩切り通し行く水の音には立てじ恋ひは死ぬとも
(吉野川の岩を切り崩して流れて行く水が大きな音を立てるように声に出すつもりはない。たとえあなたを恋い焦がれて死ぬとしても)
も意識しています。
さらに岩から連想して犬君の返歌は「伊勢の海の磯もとどろに寄する波 恐(かしこ)き人に恋ひわたるかも」の本歌取り。
セリフっぽくするために「おそろしき人」と詠みかけていますが本当の読みは「かしこき人」が正解。