※本編のネタバレも含まれております。
普段から日記の類だけはどうにも筆が進まない。これまでも様々なブログやSNSツールを使っていたけど徐々に言葉は減り、最終的には止まる。気がつけばnoteも去年の5月を最後に更新が停まっていることに今気がついた。
さて、そんな話はともかく、拙作「彼女が海にとけていく」が無事、番外編含めて完結しました。ここまで楽しんでいただけた皆さま、少しづつ読んでくださっている皆さま、本当にありがとうございます。
投稿作品として初稿を生み出し、推敲を繰り返していく中で、当初は羽美と降秋の為に書き出した物語には奥行きが生まれ、気がつけばキャラクターの誰もが一人の主要人物として存在感を放ってくれた物語でした。
視点こそ羽美ですが、まるで群像劇のような物語になったなあ、と感じています。
特に、幸江と遙の存在は当初予定していた以上に大きなものになりました。
この物語を描き出す上で、二人は友人と双子の片方でしかありませんでした。ですが、物語が進むにつれて、「もしかすると、この物語は二人のためにあるのかもしれない」と思うようになりました。才能人たちの中で、自分を「持たざる者」とする彼女たちが、羽美や佳波多たちが身近にいる中での苦悩の先を見つめ、自分の着地点を探していく。
結果、二人はそれぞれ行先を見つけました。第十三話 個展「未完」での羽美と幸恵の会話が描けた時、作中で言うところの「結実していく感覚」を持つことができました。プロット上では出来上がりつつも、果たしてこの物語を最後まで書き切れるのか……執筆当初抱いていた不安が払拭された瞬間でした。
羽美たちはもう大丈夫だろう。この先も彼らなりに、彼女らなりに生き続けてくれるに違いない。そんな風に今は思っています。
「降秋さんは奥さんと元気に過ごしているかな」なんて笑いながらみんなで話をしてくれたらいいなと思っています。集まる場所はなくなってしまいましたけれども。
番外編は、私の中でそのままそっとしておこうと思った「一人」にも、ちゃんと結末を与えてあげたいと思い書き足した物語になります。
元々ヨルベミチコと彼をメインに据えた「フィリップ・ヨハンソンに捧ぐ」という短編を過去に書いており、その内容をモチーフの一つとし、「彼女が海にとけていく」が形作られました。
本編に大きく絡む必要のないキャラクターでしたので、元々触れるつもりもなく、本編でも彼の名前は出しておりませんでした。
自己満足のような内容にならないように心がけて試筆させていただきましたが、読んで違和感なく楽しんでいただる一本に落とし込めていたら幸いです。
少しづつ現在のプライベートでのタスクの割り方も分かってきたところなので、また長編も書き溜めていきたいと思っています。
また、読んでくださった皆さまと再会できることを祈りながら。
ありがとうございました。
有海ゆう(硬質アルマイト)