悪女にのめり込み、身を滅ぼす芸術家の愚かさと悲劇を描く…ほどでもなくそれはわかりやすい物語のラインで、今回書きたかったのは気を引くための甘言をリップサービスとわかっていてもそれにはまり込んでいたという地味な怖さです。
莉乃は気を引くために絵を褒めるのですが、それは褒めてもらいたい、注目されたい裏返しでもある。褒められることは嬉しいけど、いつしかそれに酔いしれてこれで良いと思ってしまう。
物語はいわゆるザマァな展開に向かうのですが、莉乃はさほど嫌な目に合いません。彼女はこれがデフォルトで悪気はないわけです。リベンジものというよりも、惑わされて大切なものを失わないことを伝えたいという趣旨でした。
恋愛要素もスパイス程度に入れてみたけどいかがでしょうか。