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第七章の登場人物は

一橋慶喜さま、後の最後の将軍徳川慶喜さまでした。

いくら勤王芸妓幾松の後継者でも、一橋慶喜さまのような雲の上の人が、島原の太夫ならともかく、一芸者のところに来る、というのはご都合主義な面もありますが。

この人は、やんごとないお方という一方で、庶民ともかなり親しく交わりたがった人なので(庶民ごっこみたいな感じだろうな)、このくらいは創作の上ではいいかな、と思ってご登場いただきました。

この人の人生は、良くも悪くも、現代的で個人主義的です。
会津の悲劇はもちろん、直接の部下が明治の時代に苦しい思いをしている中、ご自身は淡々と、自分の人生を全うして。
「自分にできることは何もない」ということなのでしょうが、例えば天璋院さまが配下のために心を尽くしたのとは対照的です。

実際、できることは全てやりつくして、あとは自分の責任の範疇を超えている、慶喜公がそんな風に思われるのも無理はないとも思います。

卑怯とも思わないし、ヒーローとも特には感じない、そんな方ですが。

書いていて、一番生き生きと描けていたな、そう感じるのも、実はこの人が登場する回です。
(特に、この章ではなく、別の章で)

物書きをするとき、登場人物を好きになるのも大切かもしれないのですが、それ以上に、理解することが大事で、一橋慶喜公は現代的な人なので一番書きやすかったということかもしれません。

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