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カー学第3章2話

ここら辺が問題。説明回。書いてて一番つまらない所。ゴミみたいなこの話をもっと書き直さなきゃならない。既に3稿目。1章のフリースタイルティーチャーも1週間かけて書き上げて投稿前にも結構書き直した。バトルセンターの話なんかは自分でも感心するくらいよく書けたけど。とにかく説明回は苦手。でも先に色々な前提情報を開示しておきたいし、情報開示の塩梅が難しい。相当頭が煮詰まってます。誰も見せる人がいないのでここで見せてる。

授業の形をやめようかなとも思ってる。図書館で調べるとか







第2話 王魔戦線時代【1day Restart】

「今日は魔物とダンジョンの座学だ。次の試験に関わる重要項目だからよく聞いて欲しい」

 クロウが黒板にチョークを走らせる。

 5月1日。入学から1か月も経てば新入生も嫌でもラグナロク学園の校風を学ぶ。入学時よりは真面目になったクロウの講義に現状声立てる程の不満がないこともあり、G組の生徒たちは大人しく講義を聞いている。クロウが今黒板に書き連ねているのは魔物の来歴についてだ。

【魔物=異界の侵略者】

 【】で囲われた黒板上部の文字列の下にクロウが喋りつつ補足を書き加える。

「今書いた通り魔物は異界の侵略者だ。次元の壁の歪を越えてこの世界に来襲する。まぁ小学生でも知っている、今更話すまでもないことだが――」

「……」

 教室の片隅。シャルナの机の上のメモ帳に走らせていたペンの動きがピタッと止まる。それからまた無表情のままにカリカリと筆記を再開する。シャルナは小学校を出ていない――玄咲は何も見なかった振りをしてクロウの話の傾聴を続ける。

「だが、その歴史背景まで知っている奴は少数派なんじゃないかと思う。なので今日は魔物とダンジョンの来歴について詳しく説明していく。大人しく聞くように」

 クロウが再び黒板にチョークで文字を刻む。

【魔物とダンジョンの発生原因はカード魔法の濫用】

「どういうことかと言うと」

 カッカッ!

・今から1000年前。カード魔法の発明と濫用により、1万年間変動がなく【固形化】していた世界に満ちる【世界魔力】が絶え間なく揺らぎ続ける。
・ある日、とうとう固形化した魔力が崩壊し超巨大魔力震が起こる。
・世界中に魔力層の亀裂が生じる。その亀裂から、魔力次元【魔界】に魔力体として彷徨う生物【魔物】が物質界であるこの世界に侵略目的で流入する。
・ついでに魔界の一部もこの世界と融合する。魔界と物質界両方の性質を合わせ持つ超特殊空間【ダンジョン】が誕生する。
・世界の魔力が【流体化】し再安定した後も魔力層の亀裂は残り、この世界に魔物とダンジョンが根付く。

「……」

 カキカキカキカキ!

 シャルナが無言で猛スピードでペンを走らせる。なのに文字が全く乱れていない。シャルナの意外な特技に玄咲は感心する。他にも筆記をしている生徒はちらほらいる。入学から1か月たってG組の生徒にも少しずつ意識変化が訪れていた。知識面も含めて常時全力で駆け抜けなけらば生き残れない。そういう学園だと理解し始めたのだ。カッカッと板書の音が響く教室の中、少し間を開けてからクロウが説明を再開した。

「世界転壊以後1000年間に渡り世界の魔力は不安定な状態が続いた。その間、魔界からの魔物の侵略は絶え間なく続き人類は総力戦を余儀なくされた。この1000年間を」

【王魔戦線時代】

「と呼ぶ」

 ざわ。

 王魔戦線時代、とクロウが口にした瞬間、教室がざわめいた。

「王魔戦線時代だってよ。とうとうきたな」

「俺この時代には詳しいぜ。何せ漫画逢魔の刻を全巻読んだからな……!」

「あれ脚色だらけだからあんま役に立たないぞ」

「ふふ。歴史と言ったらやっぱ王魔時代よね……!」

 あまりにも有名過ぎる時代ゆえ、生徒たちの反応も劇的だった。シャルナもまた玄咲に話しかける。

「ねぇ玄咲。私もこの時代、名前知ってる。というか、知らない人なんて、いないよね」

「……らしいな。国によって伝え方は違うらしいけど、赤子でもなければまず知ってる時代、らしいな」

「らしい、多いね」

「……断言はできないからな」

 断言して恥を掻いた過去が玄咲から断定系を奪っていた。しかし、当然王魔戦線時代についての知識も玄咲の頭の中には詰め込まれている。転生から1か月経って尚、微塵も薄れていない。

(――王魔戦線時代。CMAのメインストーリーにも深く関わってくる最重要背景設定の一つ。人と魔物の100年戦争。序盤は魔物による人類の大虐殺と支配。中盤はカードとADを発展させた人類によるリベリオンサーガ。終盤は悲哀に満ちた英雄譚。史上最強の魔王イブリースと光の精霊神に選ばれた虹色の魔力の持ち主勇者カーン・スパークの一騎打ち。まるで物語のようにドラスティックな時代だ。それ故人気が高く、幾度も小説や漫画の題材にされている。街中の書店をうろつくと王魔戦線時代をモチーフにした逢魔戦尖学園という漫画が購入可能で、とあるキャラとのイベントを進めるために必須となる……無駄なことまで思い出してしまったな。思考が散る。今はクロウ教官の講義に集中しよう)

「……王魔戦線時代。語ることが多すぎるんだよな。……まずは沿革から説明していく」

 やや面倒くさがりな気配を見せながらもいつも通り授業自体はしっかりと行うクロウ。カッカッと黒板に見出しを刻んでいく。

【最初の30年。大奴隷時代】

「この時代の人類は魔物の奴隷だった。使うカードが雑魚過ぎたからだ。この時代のカードは古代カードと呼ばれ、平均して今のカードよりずっと貧弱な上にランクがない。ランクという概念は近代に考案されたものでそれまでカードにランク表記はなかったんだ。

 もし古代カードをランクで表すとしたらランク1未満の、ランク0とでも分類すべき雑魚カードが相当数存在するらしい。今のランク1のカードさえ、大奴隷時代に持ち込んだら最前線で使える強力なカードなんだよ。ランク3ともなれば切り札として運用できるレベルだ。それだけ、当時と比べて現代のカード開発のレベルは格段に上がっているんだ。そんなありさまだから、古代カードには命を削って発動する魔法が多い。代償を設けることで無理やり出力を上げたんだ。少し後世になるが、生贄の祭壇なんかは代償を設けて出力を上げるカードの中でも有名だな。とにかく、当時のカードは雑魚過ぎた。エレメンタルカードが命綱みたいな状況だったらしい。だがな、精霊も普通に傷つくし疲れるし死ぬんだよ。多用はできない。それに魔物の総数からしたらこの世に現存するエレメンタルカードの枚数は焼け石に水。精霊の力を持ってしても覆せない苦境の中に当時の人類はいたんだ。

 また、ADに至っては大奴隷時代初期には存在すらしなかった。この時代の中期に地下レジスタンスのどこかの基地で開発されたらしいが詳細は不明。カードの出力の大幅増加に繋がる。だが、この時代のADもまたカードと同じく古代ADと呼ばれ弱かった。そして補正値がなかった。補正値もまた近代に考案された概念だからだ。当時のADを無理やり補正値に当て嵌めると、0,1とかそんなレベルになるらしい。試験で使ったベーシック・シリーズでさえ当時基準なら最強クラスのADだ。とにかく、ADの開発には成功したが戦力として運用できるレベルに達するにはしばらくの時が必要だった。劣悪な環境下での開発、そして製造ラインの構築も必須だったため技術発展は難航し、それから数百年の時が流れ」

【中間の40年。奴隷解放時代】

「が、始まる。人類の反撃の刻だ」

「……ゴクリ」

 シャルナが喉をならす。クロウの話に聞き入っている。玄咲はシャルナを天使の子みたいだなと思った。

「この時代になってようやくADとカードが魔物と戦えるレベルに達する。そして人類の反撃が始まる。この時代はとにかく戦いの嵐だ。人類史上最も多くの戦争が行われた時代だろう。時には国丸ごと一つ戦場として人と魔物が戦いまくった。魔物の奴隷化という屈辱を晴らすため、そして二度と地獄を味わわないために人類は死に物狂いで戦った。戦って倒した魔物の素材を使ってどんどん強力なADやカードを開発し、奴隷を開放して仲間を増やし、人類は破竹の勢いで勢力を取り戻した」

「おお……」

「……」

 玄咲はクロウの講義よりもシャルナの表情が気になって仕方なかった。横目でちらちらと瞳を輝かせているシャルナを見る。

「そしてとうとう人類は勢力図を塗り替えた。このままなら再び世界の支配権を魔物から取り戻せる。人類が希望を持ち始めたその時」

 カッカッ。

【魔王イブリース】

「が現れる。残虐な性格と最強の力を兼ね備えた最悪の魔王だ。この魔王イブリースに人類の約20%が殺された。しかも、一人残らず惨たらしくな。魔物と人の勢力図は再び入れ替わった。そして、それまでバラバラに好き勝手に動いていた魔物たちが魔王イブリースという旗を得たことでとうとう魔王軍として団結した。対する人類は魔王イブリースの力と残虐さに士気を挫かれ、狡猾なイブリースの手によって人類を代表する英雄を狙い撃ちで殺され、戦力的にも崩壊寸前だった。人類最大のピンチだ」

「ッ!?」

 シャルナが絶望の表情をする。他にはさとしも絶望していた。

「だがそこで現れたのが」

 カッカッ。

【勇者カーン・スパーク】

「だ。光の精霊神に選ばれ、虹色の魔力を持ち、オーパーツとされる勇者AD、そして勇者カードを使いこなす、学園長を除けば、人類史上最強とされる魔符士だ。そして」

【最後の30年。神話勇戦時代】

「が始まる。この時代は――」

 ――それからの話はまさしく神話だった。勇者の果てしない雄々しさ、強さ、そして勇敢さ。そしてそれに対する魔王の残虐さ、狡猾さ、そして無道なまでの強さ――勇者カーンがいなければ再び奴隷時代に戻っていた。そう思わせるに足る化け物だった。そしてとうとう――。

「――僧侶。タンク。魔法使い。剣士。全ての仲間を残酷に殺されながらも尚奮い立ち戦い続けた勇者の奮闘によりとうとう魔王イブリースは倒された」

「ッ!」

 ガタッ!

「やったぜ!」

 さとしが立ち上がり叫んだ。教室中の鼓膜が揺れた。シャルナは目を回している。クロウは「黙れ」と強めにさとしに注意してから、話をまとめる。

「その後は大ダンジョン時代、災戦時代、天下符闘時代――即ち現代へと推移し、今に至る。先人の奮闘のお陰で今俺たちはこうして生きているんだ。だから先人に感謝しないといけない――と、まとめはこんな感じでいいかこれで今日の座学は終わりだ。話すことが多くて疲れたぜ。あー、疲れた……」

 教壇の後ろの椅子に勢いよくもたれかかって首を投げ出すクロウ。教室がすぐに活気立つ。

「わくわく、したね」

「ああ。魔王イブリース。俺たちが戦うことはないだろうが、もし目の前に現れたら即バエルを召喚するだろうな。本当に、恐ろしい魔物だよ。特に残虐さが。人間ミキサージュースがモーニングドリンクなんて正気じゃない」

「そうだね。人間牧場の、エピソードも、怖かった。……あの時代に、勇者がいて、本当、良かった」

「ああ、人類が滅ぶところだった。シャルとも出会えなかった」

「……うん。そだね」

 他生徒同様、玄咲とシャルナは授業について語り合う。王魔戦線時代の話だけあって、G組の生徒にしては珍しく授業内容で盛り上がっていた。そして10分が経った頃、クロウがむくりと身を起こし、

「……憂鬱だが、これからクラス全員で移動する。全員俺についてきてくれ。今日は実習を行う」

「実習。ですか?」

 しるけんが眼鏡をくいっとする。クロウは億劫そうな表情で頷いた。

「ああ。ダンジョン探索の実習だ。今から学園管理のダンジョン学園迷宮ヴィズラビリンスに向かうから全員支度しろ。次の試験にも関わることだから、これに関してはきっちりと教えていく」



※ここから実習の話は省いて知識だけインストールする。

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