「ねえ、瀬梨香」
「なに? つむぎ」
「好きだよ」
「! うん。私も好きだよ。つむぎのこと、ずっと好きだった。これからも好き」
「うん。ありがとう。でも、なんであんな嘘ついたの?」
「え、ど、どうしてつむぎはそれを知ってるの?」
「……瀬梨香」
「う、ご、ごめん。でも……あのときは、その、気が動転していて」
「言い訳? やめてよ。私にずっと最低な嘘ついて、騙してたくせに、まだ誤魔化すの?」
「つむぎっ、待って」
「さようなら」
「つむぎっ!」
「つむぎっっ!!!!」
「あ……? はっ、はあっ、はあ……」
目が覚めると、見慣れた自分の家だった。
「ゆ、夢…………」
私は体をベッドに預ける。寝汗がひどくて、背中に冷たく気持ち悪い感覚がした。
「うっ、うう……」
涙が溢れて、嗚咽が漏れ出していく。
私はつむぎと恋人になったことで、完全に浮かれていた。
つむぎとの未来がない未来があることに、目を背け続けていた。辛くて、痛くて、苦しい未来。「星波つむぎと星空瀬梨香の関係」の終わりからずっと逃げていた。
ひどく痛む胸をおさえて、私は縮こまる。
けれど、嘘をついたのは私でこの未来を、こんな夢を作ったのも私だから、完全に私が悪い。自分勝手だし、自業自得だと思う。
だからこそ、余計に。
「苦しいよ、つむぎ……」