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もう一つの夢(ほしとけ29話後)

「ねえ、瀬梨香」
「なに? つむぎ」
「好きだよ」
「! うん。私も好きだよ。つむぎのこと、ずっと好きだった。これからも好き」
「うん。ありがとう。でも、なんであんな嘘ついたの?」
「え、ど、どうしてつむぎはそれを知ってるの?」
「……瀬梨香」
「う、ご、ごめん。でも……あのときは、その、気が動転していて」
「言い訳? やめてよ。私にずっと最低な嘘ついて、騙してたくせに、まだ誤魔化すの?」
「つむぎっ、待って」
「さようなら」
「つむぎっ!」
「つむぎっっ!!!!」

「あ……? はっ、はあっ、はあ……」

 目が覚めると、見慣れた自分の家だった。

「ゆ、夢…………」

 私は体をベッドに預ける。寝汗がひどくて、背中に冷たく気持ち悪い感覚がした。

「うっ、うう……」

 涙が溢れて、嗚咽が漏れ出していく。

 私はつむぎと恋人になったことで、完全に浮かれていた。

 つむぎとの未来がない未来があることに、目を背け続けていた。辛くて、痛くて、苦しい未来。「星波つむぎと星空瀬梨香の関係」の終わりからずっと逃げていた。
 ひどく痛む胸をおさえて、私は縮こまる。

 けれど、嘘をついたのは私でこの未来を、こんな夢を作ったのも私だから、完全に私が悪い。自分勝手だし、自業自得だと思う。

 だからこそ、余計に。

「苦しいよ、つむぎ……」

2件のコメント

  • 投稿お疲れ様です。
    過去につむぎが離れていった事を引きずり続けてるが故に、つむぎがまた離れていく事を恐れている瀬梨香に読んでるこっちも苦しくなってきます…。
    真剣に悩んでいる瀬梨香には悪いと思うのですが、瀬梨香の事を冷たく突き放すつむぎがあまりにもイメージとかけ離れていて、ちょっと…その…可笑しかったです笑。
  • いつもありがとうございます!
    夢って結構なんでもありな感じになりがちなので、誰こいつってぐらいつむぎの人格が変わってます笑
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