• ラブコメ
  • 詩・童話・その他

らくがきのクセはなおらない。

今回の写真は、なんかこう、もう夏だなっていうような快晴です。

子どもの頃、私はよく教科書やノートにらくがきをする子だったんです。
授業中とか、宿題やっているときとか、つい思い立つともう何か書いている、みたいな。
みなさんはどうでしたか。

私、こういう落書きのクセって、大人になったら勝手になおるものだろうって思っていたんですよ。
でも、いざ大人になったらとんでもない。なおるどころか今もこのらくがきグセは発揮されています。それは形を変え、「作業中にふらりと脇道へ寄るクセ」のようなものに成りかわって私の精神に住まうひとつの大切な要素になっているのでした。

あれこれ書き連ねましたが、個人的には好きなクセです。

で、そんなクセが今日も発揮され、お話を書いている最中に気がついたら下記のようなまったく違う情景のシーンが書かれていたのでした。
他に使えるかもとストックしようとも思いましたが、まァ習作ということでここに飾っておきたいと思います。

---
「神社って駐車場とかあるんだ」
 最初、父から聞かされたときは、個人商店のようなこぢんまりとした駐車場をイメージしていた。実際は、田舎のコンビニくらい広々と使いどころのない空き地。
「そりゃあ、あるさ」
 シーズンに入ればこの広さでもとても足りないと、父はこの神社の氏子でもないのに得意げに語っている。
「初夏は藤棚、仲秋は紅葉ってね」
 ふーん、と喉の奥で反応するも、その手の行楽にあまり興味がなく、
「夏は花火大会、秋はハロウィン」
 なんて、ソーシャルゲームのイベントのイメージで季節を語るしかなかった。
「おまえくらいの年はまァ、そうだよな」
 車は駐車場の中ほどに寄る。お父さんがエンジンを切ると、車内から音がぱたりと止んだ。車を降りて扉を閉めればバタンと音が鳴る。
 遅れて、外の静けさがやってきた。
 風の音が聞こえてくるくらいに静かだった。
「ほら、お参りにいくよ」
「……うん」
 靴の地面を擦る音が耳に残る。遠くの眺めに後ろ髪を引かれたまま歩き出した。開けた駐車場は、遠くの薄青い山が連なる尾根まで望める。それは、青空にだらしない横線を引いたような稜線だった。
----

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する