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まずは、この近況ノートを書く発端になった作品、オレンジ11(@orange11)さんの『ミュゲ書房』を、もしまだ未読の方がいらしたらぜひご一読ください!
『ミュゲ書房』オレンジ11
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889794694*******************************
『ミュゲ書房』、作中に登場する本の数々があまりにも素敵なのです。
コメントで「私も選書していただきたい!」とお伝えしたところ、オレンジ11さんから「おいしくて美しい本(レシピ本含む)」のお題を賜りました。
コメントへ作者さんからの返信はいただけても、そこへさらに返信を重ねることができなかったので、こちらに書いてみます。
テーマを持って本を選ぶ作業って、とんでもなく楽しいのですね。そして、どこか恥ずかしくもあります(笑)。
本棚の奥から昔のお気に入りを引っ張り出して、際限なく上げつらねてしまいそうなところをぐっと我慢しながら、いくつか選んでみました。なんだか、昔、好きな人に好きな音楽を編集したMy Bestを贈った(正しくは、押し付けた)のと似てるなと思いつつ、その時のこっぱずかしい気持ちも味わいつつ、いくつか、挙げてみます。
●『きりのなかのはりねずみ』
ノルシュテインとコズロフ作、ヤールブソワ絵、こじまひろこ訳
(福音館書店、2003)
*おいしい本ではないですが、美しい本です。大人になってから出会いました。
はりねずみが「のいちごのはちみつに」を手に、だいすきなこぐまの家を目指すお話です。はりねずみ、日が暮れてから出かけるのですよ……!食べ物のお話ではないですが、こぐまと「のいちごのはちみつに」を食べたいという思いがとても好きで、「おいしくて美しい本」と伺い、真っ先にこの本を思い浮かべました。
●『ちいさなちいさな王様』
アクセル・ハッケ作、ミヒャエル・ゾーヴァ絵、那須田淳/木本栄共訳
(講談社、1996)
*ある日突然やってきた小さな王様の大好物が、熊のかたちをしたグミのキャンディ、グミベア―です。私の棺桶にはこれを入れてほしいと思っている一冊です。挿絵が多いのも素敵なのですが、怒った王様の所業がとても好きです。どこかで見かけられたらぜひ、挿絵付きの、怒れる王様をご覧になってください!
●『児童文学キッチン お菓子と味わう、おいしいブックガイド』
小林深雪 文、福田里香 料理
(講談社、2012)
*物語の中に登場するお菓子やお料理が出てくる本て、ついつい手が伸びてしまいます。『プーさんのお料理読本』や『ムーミンママのお料理の本』『メアリー・ポピンズのお料理教室』など、物語の世界を実際に味わえるのって魅力的ですよね。
そんな夢を叶えてくれるこちらの一冊。ああわかる、これも食べたかった、これもおいしそうだったと、過去の読書体験と合わせて楽しめます。
福田里香さんの作るお菓子写真がとっても素敵で、作る前に目で十分満足してしまう魔法の一冊です。
●『シネマ食堂』
飯島奈美
(朝日新聞出版、2009)
*上と同じ理由で、映画に登場する食べ物のレシピ集も大好きです。
特に、私は飯島奈美さんのお料理が大好きで。フードスタイリストとして参加された「かもめ食堂」「めがね」など数々の映画の中でも、お料理がまるで登場人物のひとりのような存在感で素敵です。この本には、「かもめ食堂」のシナモンロールも載っていますよ~。
飯島さんのご本は『LIFE』シリーズや、映画「南極料理人」のレシピ本などのほか、見つけるとついつい手元に引き寄せてしまうので、我が家の本棚には飯島さんコーナーがあります。
●『勝手におやつ BETWEEN TWO MEALS』
レスパース編(上野万梨子/邱世嬪/福井和子/村山秀子/アンジェラ永竹/ハギワラトシコ/前島純子/栗原はるみ)
(文化出版局、1989)
*個人的な思い入れが深い一冊です。お小遣いを貯めて買った初めての本でした。我が家では活字の本は買ってもらえたのですが、まるで写真集のようなレシピ本は買ってもらえなくて(笑)。写真がきれいなだけでなく、「真夜中のおやつ」「お風呂に入って食べるおやつ」や「なさけないほど淋しい時のおやつ」など、世界観に惚れ込んだ本です。「この本と生きてきた感」があります(笑)。
●『それからはスープのことばかり考えて暮らした』
吉田篤弘
(暮らしの手帖社、2006年)
*いつかこんな物語が書けたら、と憧れる作品のひとつです。空気感と料理との距離感がとても好きです。吉田篤弘さんは大好きな作家さんのお一人なのですが、この本と、月舟町三部作と呼ばれる『つむじ風食堂の夜』『レインコートを着た犬』も含めて何度も読み返す、大好きな小説です。ただどんなにおなかがいっぱいであっても、サンドイッチとスープがたまらなく食べたくなる罪な本でもあります。ご本人がクラフトエヴィング商會名義で装丁されていらっしゃるので、モノとしての本そのものも素敵で、単行本と文庫本どちらもつい買ってしまっています。
●『銀のスプーン』
小沢真理
(講談社)
*漫画です。電子書籍で買ってはまってしまいました。レシピなども出てきて楽しく、ストーリーも作り方も楽しめてしまうのが素敵です。毎日のごはんが出てくる作品なので、ちょっとしたコツなども描かれていて、登場するお料理を何度か作ってみたりしています。
以上……、『11ぴきのねことあほうどり』(※)のコロッケや『ルリユール』(※)のレモンパスタ、『大きな森の小さな家』(※)の豚のしっぽ、『東京バンドワゴン』(※)の食事シーン他、挙げたいものはまだまだ山ほどあれど、いったんこれにてお納めさせていただきます!(あまり収まっていないですね、すみません、笑)
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【余談】
おまけとして、拙作『鍵と魔法と給料泥棒』の執筆中、私のイメージを膨らませてくれていた一冊もご紹介させていただきますね。
資料として、というよりも、執筆中の心や空気感のチューニングみたいな形で、ずっと傍らに置いて、読んでは書き、書いては眺めてしていました。あ、アンズのタルトはここに載っていて心をわしづかみされたので、作中に登場しています。
●『おいしいパリ暦』FIGARO BOOKS
稲葉由紀子
(阪急コミュニケーションズ、2011)
ちなみにいまは、以下の本が同じような、イメージの元になっています。最初は図書館でなにげなく借りた一冊だったのですが、空気感がとっても素敵で、たまらず本屋さんで買い求めてきました(笑)。
●『街角にパンとコーヒー ベーカリーカフェ31軒』
川口葉子
(実業之日本社、2013)
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※『11ぴきのねことあほうどり』馬場のぼる作(こぐま社、1972)
※『ルリユール』村山早紀(ポプラ社、2013)
※『大きな森の小さな家』ローラ・インガルス・ワイルダー作、ガース・ウィリアムズ画、恩地三保子訳(福音館書店、1972)
※『東京バンドワゴン』小路幸也(集英社、2006)
(2020/2/17 16:05追記/すべての本に版元さんへのリンクをしておりましたが、一部サイトに関してカクヨム運営さんからご指摘と改善の促しをいただいたので、誤解を招かぬよう、すべてについてリンクを削除しました)