2014年に書いた疑似私小説「ひとりごっこ」の連載を開始しました。

疑似自叙伝が終わったと思ったら、今度は疑似私小説か。そんな声が聞こえてきそうですが「小説」になっただけ進歩していると思ってください。

これも公開の機会をずっと窺っていたのですが、無駄にリアル路線を狙ったせいですでに細部が古びはじめている点がどうにも悩ましく、先送りにしてきた経緯があります。

これは、当時はまっていた吉田修一を真似ようとしたからで……しかし、ああいうリアルな話を書けるだけの人間力はわたしにはない。ゆえに、私小説っぽいことをやるしかなかったのです。自分の身の回りのことを題材とする、というよりは私小説の看板を提げることで無条件にリアリティを保証しようというこずるい算段によって書かれています。

固有名詞がやたら具体的なのもリアリティの演出だったのですが、特に年代設定をはっきりと打ち出した話でもないので単に古びて見えているかもなあと。

それを思い切って公開することになったのは、やはり「砂漠より」が完結したからです。自分の青春時代にケリをつけた「砂漠より」に対して、「ひとりごっこ」はポスト青春の物語です。大人として、社会人として歩みはじめた「僕」の心情が描かれています。

フィクション度数としてはこっちの方がはるかに高く、ほとんど嘘っぱちなのですが、「砂漠より」を乗り越えた先にある物語としてぜひとも合わせて読んでいただきたいものです。

2件のコメント

  • 戸松さんの私小説は切り札だ理論、面白いですね。
    私も自作「あのころ僕は占いだった」で私小説やっちゃいました。ホントはタロット占いのハウツーものエッセイ書くつもりだったのに、なぜかゴリゴリの青春私小説になってしまったんです。虚実織り交ぜてますが、おおむね実際の出来事と占いをベースに書きました。
    あまりにも戸松さんの私小説と筆致が違うのでびびってしまってます。といいますか、私の書いたのが能天気すぎて………。
    ちょっとおこがましくて読んでくださいとは言いづらいです。いや、マジで。私小説とか自叙伝はもっと重厚に書かなきゃならんもんなんでしょうね。

  • >>ゆうすけさん

    コメントありがとうございます。

    いや、わたしも「砂漠より」を書きはじめたときはほとんど本当のことしか書かないつもりだったんですよ。ほとんど。江川さんが出てきたあたりから分岐しはじめてますねえ……あの辺からだいぶ話を盛りはじめてるんですけど、それにしてもさして盛り上がりがあるわけじゃないので、えらく中途半端な形でリソースを使い潰してしまったなあと後になって嘆いたものです。

    逆に「ひとりごっこ」は最初から嘘しか書くつもりがなかったんですけど、自分のことを書かないと間が持たなかったという感じですね。

    私小説。わたしも詳しくないですけど、明るいのがあってもいいと思います。わたしはどちらかというと躁っぽい作例しか知らないですけど。

    「あのころ僕は占い師だった」は大学時代の話なのですね。考えてる話のひとつに占いの要素が入ってくるかもしれなくもないものがあるので、興味が出てきました。

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