ついにカクヨム企画も最後の第8弾になりました。
当初は、すごーく暗いお話を考えていました。殺し屋が出てくる、救いのないようなお話です。しかし、読後感がよくないのはどうかと思い直しました。
昔のお話ですが、CUTというインタビュー雑誌の創刊号くらいに、宮さんこと宮崎駿氏のインタビューの記事が載っていました。
そこで、宮さんは、目指すべきエンタテイメントの形の一つとして、「チャップリン」を挙げておられました。
曰く、エンタテイメントは、見ているうちに、いつのまにか階段を上がっているような気持になることが大切なんだ、チャップリンを見ているとそうなる、と。
恐らく、カタルシスとか、そういうお話なんだと思います。
ただ楽しい、とか、わくわくする、とかだけではなくて、いつの間にか、心が清められるような、観ている人をそんな気持ちにするエンタテイメントを作りたいのだと。
私も、お話を作るにあたって気を付けていることでした。というわけで、殺し屋のお話は引っ込めて、遠い記憶にあるお手伝いさんに思いをはせる男性のお話となりました。
今回は、リンドウのお花を受け取って笑顔になる、ハナのイメージが出発点でした。学はないかもしれないが、かしこくて優しいお手伝いさん(メイドではなくって笑)。
そんなハナが、主人公と離れた後も、幸せに暮らしていたんだと、ああ、よかったな、と思えるようなお話にするように気を付けました。
私なりに丹精を込めて作ったお話ですので、少しでも楽しんでいただけましたなら、重畳でございます。