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白鴉のエレオノーラ

 短編の自主企画に参加しようと思ったんですが、なんというか、参加作品が(嫌な言い方をすれば)高尚な文学っぽかったのでやめました。
 文学っぽい文学は別に嫌いじゃないです。ただそれを書く人読む人のことがどうにも嫌いなのであんまり読みたくないし近寄りたくない。
 完全に偏見。でも感情の話なのでどうしようもない。
 まぁ書いたものをボツるのはちょっともったいなかったので、供養ということでここに放り投げておきます。


 ◇ ◆ ◇ 


 エレオノーラは公爵家の娘だ。柔和な面と象牙色の髪をした乙女は、なんの因果か、太古の冒険者が持ったといわれる未来予知の力を開眼していた。
 彼女は、いずれ大公として国を治めるだろう少年の遊び相手を務めていた。その力で護衛の真似事もしていた。
 あるとき彼女は少年との遠乗りの途中で、彼が怪我をする未来を見た。身を挺して彼を守った彼女に与えられたのは賞賛ではなく、この女のせいで怪我をしたという糾弾だった。
 未来予知の力は彼を守るべきではないとエレオノーラに告げていた。生まれて初めて彼女は自らの力に逆らい、そして未来を閉ざされたのだ。
 修道院に送られる前に、彼女は逃げ出した。
 彼女は悩む。最善の未来を選ばなかったのなら、これからの人生は失敗の続きでしかないのか。
 だから探すことにする。この未来予知をも覆す、すべてを切り拓くほどの力を持った誰かを。
 遠くない未来で名を馳せる《白鴉のエレオノーラ》の、それが最初の一歩。

白鴉のエレオノーラ <了>


 ◇ ◆ ◇ 


 ブルーティッシュエッジに出てくるノーラの過去話でした。一応は本編でも書くつもりでいますが、事と次第によっては臭わせるだけで詳しく語る機会もなさそうだと思ったので、ざっくり書いたという感じです。
 未来を見れるせいで心が壊れかけてるとか、脱走の際に昔馴染みだったリュークの手助けがあったりとか、書かなかったことも色々あります。その辺はさすがに本編で明かしたい。
 ぶっちゃけノーラとリュークは出す必要ないキャラだったなと今更思っています。本当に今更ですが。

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