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『ラズベリーブルー』感想その2

※ファンタジー小説『ラズベリーブルー』(著:オトノツバサ)の感想。
 ネタバレありなので、読んでいない人は絶対に見ないこと。













 以前レビューと感想を書いた作品が完結され、今ほど読破したので改めて感想。別に批評でも書評でもないのでべた褒めです(前置き
 なおレビュー返ししてもらったから褒めてるわけではないのであしからず。
 王道で、丁寧で、しかし上手にギミックが仕込んである素晴らしい作品でした。どんでん返しの展開がありつつも、それをことさら強調する描写をしないためか、鼻につかない。作者さんは相当な技巧者なのだと感服しました。

 前の感想で、もしかしてこれ異世界転生なんじゃね? と誤解していたのは、科学と魔法の融合というキャッチコピーや端々の描写に、その気配を感じたからでした。その後の展開で主人公とヒロインは間違いなく彼らの世界の住人なのだと確信して読み進めていったのですが、そこで出てくるのが別世界の住人という驚愕! 登場人物のほとんどがファンタジー世界の住人でありながら、そこに異世界が関わっているというのは正直まったくの予想外でした。更には作品の根幹たる「前世の記憶を持つ主人公達」という前提すらさくっと引っくり返してくれる様は小気味よくすらあります。
 すべて読み終えたあと、何気なく21話を開いて読み返してみれば、前世から今のヒロインへ受け継がれなかった場面が描かれています。最初に読んだときは、前世から受け継がれなかったのだな、としか思いませんでしたが、そういう意図があったのかと脱帽する思いです。おそらく、最初から読み返せばそういう新たな発見だらけなのでしょう。

 展開の技巧もさることながら、キャラクターの魅力も際立っています。主人公ヒロインはもちろんのこと、好々爺から幼い姫まで、実に生き生きとしている。特に輝いていたのは、やはりというべきか、レナ姫でしょうか。最終話でも茶化されている王族襲撃の一件はこの作品で最もカタルシスを得られる場面の一つに間違いありません。

 なにからなにまで褒め倒しというのもあれなので、あえて指摘をさせてもらうとすれば、漢字が開かれていないところがやや目につきました。有る、無い、成る、在る、などは特別に強調する場面を除けばひらがなにした方がよいでしょう。誤字脱字誤変換も、多くはありませんが時々見かけましたので、投稿前の推敲をもう一度するようにしれば、より隙がなくなると思います。

 文字数にして二十万オーバーの作品ですが、章立てがきっちりしていて一瞬たりとも退屈しませんでした。ファンタジー作品の新着をぼんやり眺めていてたまたま出会えた偶然に感謝したい気分です。
 そして最後に一言、この作品、もっと読まれるべきだ。

1件のコメント

  •  お返事遅れてすいません。オトノツバサです。
     すっごくうれしくて、感動していました。
     それに、指摘していただいたところも、なるほど。これは、確かにそうしたほうがいいですね。ついつい変換が勝手になるのでそうしていましたが、ひらがなのほうが読みやすいし、強調したいところのメリハリは付きますね。これはいいことを聞いた。
     あと、本当に誤字脱字が多しぎて、なんともお恥ずかしい。次回作はこんなことのないように書いていますが、この作品は多かった。これは反省する点です。

     新作に手をかけだしたので、こちらのサイトに来る機会が減るかもしれませんが、またちょくちょく覗きに来ます。
     こっちにも新作載せないといけませんし。
     テイルさんの新作も楽しみに待ってますね。

     では、また。          オトノツバサでした。
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