86歳段階の桜花君。
人間換算でおよそ十八歳から十九歳。それでいて既に八尾、術式〈百鬼万刧〉を使いこなし、妖刀禍餓魑・真打を振るう。
常闇之神社における彼はまだ一歳だが、この世代に生まれた桜花、椛子、雷疾、万里亜、垂氷は奇跡の世代と言われ、畏敬の念を集める。
母・椿姫が「私を超える妖怪になる」と断言するほどの素質と真っすぐさを持ち、温かい家庭環境で育ったため心優しい青年に育つ。
一方で、両親不在のことが多かったため、妹を守るのは自分しかいないと思っていたため、それが極度のシスコンに繋がった。妹からは鬱陶しがられている。
また、自分自身が俗に言うお化けのような存在なのに(妖怪だし)、怪談話がとにかく苦手。ホラーゲームも映画も無理。ドッキリもNGを出す始末で、時々蕾花が面白がって寝起きドッキリすると不機嫌になって小一時間口を利かなくなる。
ただ、魍魎に関しては「斬れるから平気」というなんとも実際的な判断基準を持つ。
善悪の基準についてはとんでもなくはっきりしていて、「僕らに害をなす者は、たとえ100人が善人と言おうが斬る」とバッサリ切り捨てた考えを持ち、呪術師には容赦なく猛攻を加え、命乞いも意に介さずとどめを指す残酷さを持ち合わせる。
この段階で彼はワヰルドハントの世界では座卓のトップ幹部、常闇之神社では迅翔隊総長。副長には垂氷がついている。
甘いルックスと優しい性格は女性にとてつもなく人気で、また男としてとんでもない強者であるため大抵の女妖怪からはモテるが、二年前に万里亜と婚約している。
そう言う意味では桜花と万里亜の結婚は、稲尾家・漆宮家・大瀧家・霧島家を繋ぐ非常に歴史的な結婚と言える。
なお、料理の腕前は壊滅的であり、伊予ですら「向き不向きがあるからね」と匙を投げたほどである。