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「大衆の反逆」 オルテガの悲鳴

 掲題の書物(岩波文庫版)に関して「としよりの戯言」に新たに一章を書き加えたので、興味があったらご一読願いたいと思っています。
 ところでこの岩波文庫版は解説の部分が訳者のご子息によってかかれている。翻訳者である佐々木孝氏はあの311地震(東日本大震災)の際に相馬市におられて、震災は生き延びたものの、その後本書の出版直前に病気で急逝なされ、解説までは手が回らなかったと言うことであろう。心からご冥福をお祈りしたい。
 そんな大変な状況の中で作業されたにしてはとても読みやすい翻訳になっている。奥付を見ると出版されて2年の内に7版を数えており、こうした教養書としてはよく売れている方だと思う。こうした書物を買う人がそれだけいると言うことだけでも日本にとって喜ばしいことで、人生の最期にそうした真っ当な仕事を成された翻訳者に感謝したい、とつくづく思う。
 皆様も読んでください。著者、訳者共に故人の謦咳に接することのできる素晴らしい書物です。

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