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高松宮日記 1

今は絶版になってしまっているようだが、以前中央公論社から「高松宮日記」というのが刊行されていて、昭和天皇の二つ下の弟君である高松宮の少年時代から戦後までの日記をまとめたものを読むことができる。
「秋茜集う丘、勇魚哭く海」を書くにあたって、直接参考にしたわけではないが、時代背景を知るために全8巻を読んだ。戦前・戦中・戦後にわたる貴重な歴史資料というだけではなく、皇室の在り方や天皇の弟という立場の関する考察も深く、また少年・青年時代のご本人の純粋な思いや他人への慕情などが綴られていて色々と考えさせられるところが多い書物である。
大西瀧次郎が最後に泣きついたのがこの高松宮で、その記載は昭和20年8月13日に記載されている。
不思議なことに、終戦の日である8月15日には、終戦に関する記載は一切ない。その日が晴れていたことは記載されており、御殿場(兄の秩父宮の療養先である邸であろう)に行き、帰りに宮内庁に寄ったことが記載されているのみである。(12日に当時の天皇の御決心を聞いたという記載があるので、その時点でポツダム宣言受諾の覚悟はあったのだろう。従って大西がいくら泣きついても天皇の決意を変えることはできないと知っていた高松宮は聞こうとしなかったのだ)

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