多すぎることが問題であった、
少なすぎることが。「あなた」につき、
「ちがう――あなた」につき、
明るさによる濁り、そして
ユダヤにつき、あなたの
神について。
・・・・・・・・・・・・・・・・
あなたの神が話題であった、わたしは
その神に逆らって語った、わたしは
自分の持ちあわせの心に
望みを持たせた、
その心の至高のことば、いまわのきわの
喘ぎによって包まれた、その
軋轢することばへの望みを。
・・・・・・・・・・・・・・・・
(ポウル・ツェラン「チューリヒ、旅宿ツム・シュトルヒェン」『非在の者のばらⅠ・4』)