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また

私はトゲトゲノの多い小さい草の実だから、それで人にとりつこうとするほかなかったのだ。
その人もやっぱりさびしい旅行者だったので、草の実をはこんだけれどおしまいには私を落とした。

トゲが折れ磨滅した時、はなれて落ちるのは草の実として当然のことにちがいない、それで事は成就するのだからーー
だから悲しみというものは人間に必要なことに属するのだ。
かんじんなことはなにが成就したかを知ることだ。そしてそのことでさびしさをいやす努力をすることだ。
(タトエバ仮リニ、詩ヲカクト云ウコトダケデモ……)


短章集<流れる髪>から

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