舞台になっている架空の退屈王国の友好親善国がデンメルク。その王子はまだ七歳の天才少年です。空間と空間の「あいだ」から無尽蔵のエネルギーを採取するという「空間エネルギー」の研究で、ノーブル物理学賞を受賞しています。
正式にはカール・フィリップ・エマニュエル・フリーデマン・ヨハン・セバスチャン……と、長い名前があるのですが、この物語では一貫して「デンちゃん」と呼ばれています。デンメルクなので、王女プランタンが「発言の語尾に『でん』をつけること」を強要し、本人もよろこんで「わかったでん」といいはじめたからです。
「です」「ます」の代わりが「でん」。「うんうん」「そうそう」は「でんでん」。
だから某国の内閣総理大臣が「訂正でんでん」と発言したときは、「あ」と思ったものでした…。
前作『プランタンの優雅な退屈』では本筋にからみ、ラストの一発逆転の大活躍に貢献した王子ですが、今回の『午睡』では冒頭にちょっと顔を出す程度です(それと「公聴会の攻防」のチャプターにちらっと)。
キャラクターとして、読み手へのインパクトが大きいようで、『退屈』を出した翌年の、知人の年賀状には「今年もよろしくでん」と書かれました(苦笑)。