• ミステリー

ネット公開について。

こんにちは。

この物語をネット公開した経緯についてかんたんにお話します。

現在、公開連載中の『プランタンの優雅な午睡』は、前作『プランタンの優雅な退屈』の続編になります。『退屈』が紙媒体で刊行されたのが2015年、つまり2年前です。

その後、つづきを構想し、今年の2月に完成させ、出版社に持ち込んだのですが、「1作目が売れないので、同一シリーズの続編は出せません」といわれてしまいました(爆)。自分の力不足が原因ですから、編集さんも版元さんもまったく悪くありません。別の出版社を探すか、あるいは出版をあきらめ、原稿データを死蔵させようか、と思っていました。

すると、前作のファンという奇特な知り合いから「ネットで公開したらどうですか」と言われ、「それなら、手続きなど、めんどうごとをお願いします」と言い返すと、「いいですよ」とあっさり承諾してくださいました。神様のような方です。

それから原稿をもういちど見直し、毎日深夜、データをその恩人に送り、今回こうしてネット公開にこぎつけたわけでございます。ありがたやありがたや。

こういう「信じられないほど御心の寛大な恩人」が各方面にいらっしゃり、どっちの方向に足をむけて寝たらよいのか、だんだんわからなくなってきています。最近は、立って寝るか、逆立ちして寝るか、悩みはじめているところです。最終的には足を切って寝ることになるのでは……(怖)。

物語と、それを支える方たちの不思議に、あらためて思いをいたしています。表現されたものは作者の専有物ではなく、編集さん、版元、それにこういうネットのプラットフォーム(の製作者、関係者)、流通にかかわるひとたち、それになにより読者の方々の存在があってはじめて、いのちが吹き込まれるものですね。あのコナン・ドイルもホームズを殺せなかったわけですし(あ。ネタバレ?)。これは、音楽でも絵画でも芸能でも、同じことがいえそうです。

いちど死にかけた物語が、またこうして命を吹き込まれたこと、××さんに感謝いたします(検閲済み)。ありがとうございました。


2017年9月11日
                          




4件のコメント

  • 御月 依水月さま

    コメント、ありがとうございます。

    「既存ファンへの告知が難しい」というご指摘、その通りだと存じます。しかし、何もしなかったら、それはそれでファンを失望させることにもなるかなあと……。

    2005年に「Bye&Thanks」という楽曲で16歳でavexからデビューしたCandyという歌手がいるのですが、その後、なかなかヒットにめぐまれず、「どうしたのか」と心配していたら、数年前、LOVERSSOULのCHIHIROという名前で地元に戻って活動をつづけていることを知りました。

    歌が好きで、音楽をやめられなかったのでしょう。名前や活動の場所を変えても、ファンがその気になって探せば、いまはネットもありますので、見つけるのはそう難しくない(昔にくらべて)と思います。

    や。例がマニアックでわかりにくい! すみません(汗)。

    あ、それと自分では自分のことを「プロ」だとはあまり思っていません。出版刊行物で「食えて」いるわけではありませんので。現実世界でたまに「作家」扱いされると、ぎょっとします。

    で、いわゆる「プロ」の作家さんたちも業界ではなかなか苦しくなってきているという「噂」は耳にします。わたしのような「半人前」の方が身軽にネットに作品が掲載できるのかもしれません。原稿が金にならなくてもダメモトと考え、気軽にネット公開できてしまう。

    一方、そういうアマチュア意識(?)が自分にとっての問題なのかもしれませんが……。んー。

    御月さんのこれからの読書人生が豊かで実り多いことをお祈り申し上げます。
  • 初めまして、夏村と申します。

    「プランタンの優雅な退屈」は雑誌で紹介されているのを見て、読みたい!と思い、電子書籍を探したことがあります。残念ながら無かったのですが。

    偶然、ここで続編をみつけてとても幸運です。じっくりと読ませていただきます。わくわくです (^ ^)

    これからも書き続けてくださいね。
  • 夏村響さま

    はじめまして。 夏村さまも奇特な方! うれしいです。やる気が湧きます。ネット公開したかいがあったというものです。ありがたやありがたや。

    雑誌紹介――週刊文春、madame〈FIGARO〉japonで千街晶之さんが紹介してくださったのでした(遠い目)。千街さんの期待に応えられず……(ぐぬぬぬ)。

    夏村さんも豊かな読書生活を送れるよう、お祈り申し上げます。
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