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短編:今日の寝起き

雨音は快感である…といったわけで、今朝は憂鬱である。

電車に揺られゆらゆらと、人の匂い、洗剤の匂い、獣の匂い(勿論獣なんていないが)臭くて暑い、車内に押し込められ僕はため息を漏らす。

そんなことを想像すると、僕の身体はベットから起きあがろうともせず、のうのうと寝返りを打ち始める。虚な目の先には曇天のせいで嫌に高圧的な本棚が僕を責めてきた。

「おい、会社に行かないでどうするんだ。愚か者!」

面倒臭いので寝返りを打つ。僕の背を見ながらも彼は責め立てる。

「大体、君は家の中だと仕事の効率も落ちるだろ?じゃあ行くほうがいい、雨なんて関係ない。知ってるかい?僕なんか年がら年中こうして重い本を支えているんだ。雨の日も雪の日もね。そんな僕に悪いと思わないのか?」

何を言ってるのか意味不明なことを喚き立てる本棚に向かって、もう一度寝返りを打つ。彼は変わらず高圧的に僕を睨んでいた。

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