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水の恨みとリニア新幹線

 水の恨みは末代まで祟る。80年以上もめていてやっと沈静化していた大井川渇水問題に手を突っ込んだのがそもそもの間違い。JRが信長のように乱暴に行動しても、静岡県は家康のようにのらりくらりとしているだけだろう。そのまま押し切ろうとすれば、着工までに30年やそこらかかることは覚悟しておいた方がいい。JR東海と静岡県はJR東海の発足当時から何かともめ事を抱えていて既に何十年も静岡県の態度が硬化していることを忘れてはならない。

 環境破壊を強行する企業の横暴。そもそも60万人以上の生活を支える水源地の地下にトンネルを掘ろうなんて言うのが間違っている。静岡県は丹那盆地の悲劇を忘れていないぞ。大井川水系でも同じことを繰り返す気か! ましてや水利権等で何十年ももめていた流域だから、寝た子を起こして、火種に揮発性の燃料を投入するようなものだ。

 大井川の渇水で、もともと、「田代ダム」による流域外への水の流出自体も問題になっている。田代ダムから毎秒1トンの水を下流に流す流さないで何十年ももめていたのである。2トン減るという数字がいかにインパクトがある数字であることか理解していない。最近になってやっと妥協が成立して下流に水が流されるようになったばかりだ。やっと沈静化したところに、再び火をつけたのがリニアの問題である。歴史を理解していないようだ。

 環境影響評価の結果から都合が悪くなって、書き換えるなど信用すらない。これで交渉して和解しろというのは無理がある。一度出した環境アセスメントが都合が悪くて、根拠なしに、そんなことはないなんて主張しても誰が信じるというのか?

 ニュースに流れてくるJR側の対応がひどい。一方的な暴力団まがいの脅迫で静岡県側の知事や担当者と話し合いにならない。人格否定の脅迫って何様のつもりなんだかなあ。もともと合意なしに工事を見切り発車したJRの問題だろう。

 コース設定そのものに問題があったのである。JRが国に泣きついても、水問題を解決したうえで、JR側の対応が変わらない限り、無理だろう。おそらく、コースを北へ10km以上移動して静岡県を通過しないようにした方が早いだろうな。

 丹那トンネルの水問題については、吉村 昭の「闇を裂く道」を読んでみることをお勧めする。

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