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『青少年のための小説入門』

早速、読書記録など書き綴っていこうかと。
ネタバレはないようにしていく予定ですが、漏れ出てしまってたらごめんなさい!

『青少年のために小説入門』 久保寺 健彦/著
駄菓子屋の店番をするヤンキーの登と、優等生な中学生の一真がコンビで作家を目指すというもの。
主人公の一真は優等生だけど学校の不良に絡まれてしまうような冴えない中学生。その相棒となるのがヤクザに片足(?)を突っ込んでいて腕っ節は強いし口は悪いしなかなか破天荒なキャラクターの登。しかも一真とは十歳近く年上で、どこをとっても接点や相性がいいイメージが浮かばない。しかし、この二人が登の持つ読み書きをするのが難しい「ディスレクシア」という発達障がいを通して、見事に信頼関係を構築していく。
語り手は一真で、中学生から始まる彼の成長や葛藤という大きな流れで物語は進んでいるけれど、登が持つ「ヤンキー」とか「ディスクレシア」という性質がごく自然に物語を前に進めている。そこがすごく上手いなと感じたし、ハラハラさせられたし、面白くて勉強にもなった。
タイトルにもある通り小説入門なだけあって、名作を片っ端から読破していく描写が半分くらいなんだけれど、それはほぼすべて小説を書くためにしているようなものだから探究心が半端じゃない。しかも読み書きができない登は、一真の朗読を聞きながら色んなことに気が付いたりアイディアを出したりする。それまで絵本か小学校の教科書に出てくるものにしか触れていなかったから作家が書く文章のリズムに敏感だったり、矛盾や言葉遊びさえ文学として成立していることに驚いている様子は目から鱗というか、物書きとして改めて見習わなければいけない視点だなと思わされた。

今回、この作品をきっかけに朗読というか音読してみるのもいいなと思ったので、今は長いこと積読していた井伏鱒二の『駅前旅館』を音読して楽しみつつ何か盗めればいいなと考えている次第であります。その後は登と一真が読んだ本を漁ってみてもいいし、今日『魔眼の匣の殺人』を買ってしまったのでそれを読むか迷い中ですね。
作品について書くときの口調が分からず、語尾が統一できず申し訳ないです。
難しいね。

読んでくれた全ての人に愛を込めて。
清水 円

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