※盛大なネタバレを含みます。できれば本編を読んでからお読みいただけると嬉しいです。
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『星の神ギヴリス』の正体は、『闇の神の一部から生まれた神』。そして、父神から要らぬとされ、彼は捨てられた。
満たされぬ心を満たす為に、獣の姿のギヴリスは人間たちをただ食らいまくった。それをやめたのは、人間にも自分と同じ心があるからと気付いたからだった。
人間を食らう事をやめた『神の獣』は、自らの腕を齧って飢えを満たした。女神シルディスが彼を見つけた時、彼は自分を止める為に殺してほしいと懇願した。女神はその望みを叶えた。
* * *
神の一族は、体は死しても魂は死ぬことはない。新たに体を手に入れたギヴリスはその星そのものと結び付けられていた。
罪滅ぼしもあり、今度こそ人間たちを救いたいと、守りたいと、ギヴリスは願った。
しかし人間を食らう事を止め、尽きた人間の魂だけを食らうことにしたギヴリス――この星そのものでもある、神の体はどんどんとその力を失っていった。
神の命が尽きる時、世界も共に滅びる。じわりじわりと、世界は終わりを迎えていた。
もしも再びギヴリスが死ぬことになり、この星が滅んだとしても、せめて人間たちだけは他の世界に逃がそうと、シルディスは転移装置を作った。
この星が滅びかけている事を知らぬ人間たちは、転移装置の事を知り憤慨ふんがいした。
神はこの星から我ら人間を追い出そうとしている、と。
神を信仰していたはずの人間たちは、神に刃を向けた。
しかし、神は……他の神が造った生き物を傷つける事は許されないのだ。
人間たちの手により、女神は装置と共に捕らえられた。
人の手では神を殺す事はできない。しかし死ねないだけで、死ぬほどの痛みや苦しみはある。
その苦しみから彼女を救う為には、神の手で殺すしかない。
ギヴリスはシルディスを救う為に、彼女を殺した。
* * *
私を食らいなさいと、女神は言った。
そうすれば、ギヴリスの命を永らえる事ができるのだからと。
女神の遺骸を抱えて逃げたギヴリスは、その言葉の通りに彼女を食らう。
しかし、人間たちの追手により取り押さえられ、女神の遺骸も奪われてしまった。
ギヴリスが女神を食らった事を知った人間たちは、それにより力を得ることができるのだと悟り、同じ事をした。
転移装置は女神の魔力を使って動かす事ができる。
そして、女神に代わって装置の操作ができる、神の人形サテライトは、女神を食らった者の命令をきく。
こうして最初の『勇者』は召喚された。
* * *
体を失った女神は自身の世界=地球に戻り、魂を癒す為にその星の人々の中に散りばめた。
転移装置が逆作動し、まず召喚されたのは女神の魂が一番濃く混ざっていた、赤石真(マコト)だった。
彼にはわずかだが女神の記憶もあり、彼女の意思をも感じることができた。
そして、この星が滅びに向かっている事も知っていた。
真はこの星を救う為に、女神の遺骸をギヴリスに与える事を進言する。しかし、大司教たちはそれを受け入れなかった。
彼らは神の遺骸を取り込む事の恩恵を知ってしまい、もうそれを手放す事ができなくなっていた。
それならば、女神を再びこの世界に呼びよせようと、真はサテライトの協力のもと、勇者召喚の仕組みと、ゲームに似た設定を作り上げた。
約20年ごとに、女神の魂を伴って『勇者』が召喚される。そして、その女神の魂に呼応して『魔王』――ギヴリスの分身は目覚めた。
『勇者』と選ばれし英雄たち一行は、ギヴリスに与える魔獣の魔力を集める。その際、勇者が『勇者の剣』を持つことで、勇者の魂に内包されている女神の魂も剣に集められる。そして、集まった魔力と共に女神の魂(神力)をギヴリスに与える事で、星の寿命を永らえさせる事ができる。
真の設定では、女神の魂を失った『勇者』は再び地球に帰れるはずだった。しかし、教会は彼らを星への生贄にした。
この事を星の神ギヴリスと女神シルディスは知っていた。
神が世界の進退に直接手を出すことはできない。だから彼らには止められなかった。
女神シルディスは、数名の地球の人間とこの世界そのものの進退を天秤にかけ、止めない事を選んだ。
ギヴリスは、偶然捕らえられ自分のもとに連れてこられたアシュリーを転生させ、世界を変える為の力を与えた。
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<魔王復活の流れ>
1)王国の一部が消える(本当は星が滅びに向かっているが故の崩壊なのだが、人間たちには魔王の仕業だと思われている)
2)魔王を倒す為にと『勇者』が召喚される。
3)『勇者』に内包されているシルディスの魂を引き金に、『魔王』(シルディスの遺骸を求める、ギヴリスの分身)が目覚める。
4)シルディスの遺骸を求め、魔族が人間の国を目指す。
魔王の復活→勇者の召喚 と、思われているが、本当は逆である。
『勇者の剣』には、魔獣の命と共に勇者の中のシルディスの魂が吸われていく。それを魔王に与える事で、魔王は再び眠りにつく。
魔王討伐とは、この星そのものでもあるギヴリスへの強制給餌のようなものでもある。
しかし、それでも星の崩壊は止められず、じわじわと世界は崩壊していった。
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ケモ耳っ娘になったからにはホントはモフられたい~前世はSランク冒険者だったのでこっそり無双します~
https://kakuyomu.jp/works/16817330648712732416~前世の記憶を持つ少女は、再び魔王討伐を目指す~