• SF
  • 異世界ファンタジー

「ケモ耳っ娘になったからには~」樫の木亭の収穫祭★

本編が人物紹介で面白味が不足してると思うので、過去に書いた閑話をおいておきます\(^▽^)/


※過去にハロウィンの閑話として書いたものですので、作中と時期がちょっとずれていますが、気にしないでください。
※作中の時系列としては、シアが王都に帰ってきて正体がバレるより前くらいと思って読んでください。

==================

「収穫祭って、カボチャの飾りを作るんだろう? 俺、あれ作った事ないんだよなー」
 ニールがわざわざそういう言い方をするのは、つまりは作ってみたい、一緒に作ろうって意味だろう。口には出さなくても、表情が完全にそう言っている。

 まあ、私(リリアン)も作った事はない。前世でなら…… いや、前世でもないな。でもシアと一緒に、子供たちに菓子を上げた事があるのを思い出した。

「じゃあせっかくだから、皆で一緒に作りましょうね~」
 ミリアちゃんがニコニコと笑いながら言った。

 『樫の木亭』のディスプレイ用に大きなカボチャを幾つか求めてあったそうだ。デニスさんが厨房の奥から三つも担いで持ってきた。
「ほら、一人1個ずつな」
 そう言って、ニールとミリアちゃんと私の前に置く。

 えーー? 私もやるの?
「こういうのはお子様の仕事だろう?」
 お子様って…… まぁ、ニールとは一つしか年が違わないし、デニスさんから見たら八つも下の私は十分お子様なのだろう。
 私には前世の記憶があるから、デニスさんより年上な気持ちもあるんだけれどね。

 ニールは早速カボチャにナイフを入れようとして、ミリアちゃんに止められた。
「こういうのはちゃんと下書きをした方がいいのよ」
 ……なるほど。ミリアちゃんがそう言うのを横で聞いて、元から知ってたような顔をしてペンを手にした。


 しばらくの後、私は自分のセンスの無さに絶望していた。
 たかがカボチャの顔を書くのが、こんなに難しいとは思わなかった……

 そう。私ってば、本当にセンスがないのよね。
 王都に来てからは、ミリアちゃんに服を選んでもらっている。髪のまとめ方は教えてもらってなんとかやっているけれど、髪飾りなどを自分で選ぶとミリアちゃんに苦い顔をされてしまう。
 前世でも、防御力とか使いやすさで選んだ装備ばかり着ていた。見栄えとか自分ではよくわからなくって、シアに選んでもらっていたっけ。

「よー、何やってるんだ?」
 丁度考えていたシアさんの声が真後ろで聞こえて、少しびっくりして耳がぴくりと跳ねた。
 彼は後ろから私の手元を覗きこみながら、私の頭に大きな手を置いてわしわしと撫でた。

(俺が手伝ってもいいか?)
 私の手元を見て、上手く出来ていない事を察してくれたのだろう。こっそりと私の耳元で言った言葉に、縋るように彼を見て黙って頷いた。

「俺にもやらせてくれよ♪」
 シアさんはご機嫌な様子で隣に座り、私のカボチャを手に取るとさらさらと下書きを直し始めた。

 やっぱり、シアは器用だな。
 彼の手元を見て、改めて感心する。前世で一緒に旅をしていた時も、料理や服の繕いや、それだけじゃなく身の回りの細かい事は彼が主にやってくれていた。あの頃の私は、戦うくらいしか出来ない不器用者だったし。

 ニールとミリアちゃんは、とうに下書きを終えてカボチャをくり抜き始めている。シアさんも、さっさと下書きを仕上げると、ナイフを手に取った。
 そんな様子を横で見ていて、彼の隣のこの位置がちょっと懐かしくて嬉しくなってしまった。


 顔の模様にくり抜かれた三つのカボチャは、このままではランタンにならないそうだ。当日まで乾燥させるのだと、店の裏の風通しの良い場所に並べられた。


 お疲れさま、とミリアちゃんが厨房から出して来たおやつは、カボチャのパイだった。横にはたっぷりとクリームが添えられている。
「これって、今のカボチャの中身で作ったの?」
 ニールがおかしな事を言った。つい今しがたくり抜いたカボチャが、この短時間でパイに化けるはずはないでしょうに。
「飾り用のカボチャの実は、味がイマイチなのよね。だからこれは別のカボチャよ」
 ミリアちゃんが上手い具合に優しくフォローしたものだから、誰もツッコミを入れられなかった。

 カボチャのパイは丁寧に作られていて甘さも程良く、とても美味しかった。
 ミリアちゃん曰く、素材のカボチャが良いものだったらしい。蒸しただけでもとても甘いそうだ。
「まだあるから、収穫祭の日にはカボチャの料理作りますね」
 ミリアちゃんがそう言うと、ニールだけでなく皆の顔が綻んだ。

==================

 アッシュはセンスがないです。
 シアンと出会った時も、女性らしいというよりも雑な格好をしていました。でも胸が大きいのでそこは目立ってましたが(笑)
 一緒に旅をするようになってからはシアンが装備を選ぶようになって、以前よりも見た目で男性の注目を集めがちになってしまってシアンが葛藤したり、下着までシアンが選んでいてわざと自分好みのデザインを選んでわくわくドキドキしていたりとか、そんな事もあったりしました(笑)

==================

ケモ耳っ娘になったからにはホントはモフられたい~前世はSランク冒険者だったのでこっそり無双します~
https://kakuyomu.jp/works/16817330648712732416

~前世の記憶を持つ少女は、再び魔王討伐を目指す~

◆おまけ
夏が終わる前に、リリアン水着イラスト♪

2件のコメント

  • 微笑ましい! 私もリリアンやニールと一緒にかぼちゃの飾りを作りたくなりました(⁠*⁠´⁠ω⁠`⁠*⁠)
  • >倉谷様
    自分で書いててなんですが、『樫の木亭』自体がいい店だなーと♪
    わいわいご飯美味しくて、可愛いケモ耳がいて。
    んでもって、合間時間にこんな事してたりー
    混ざりたいですよね♪
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する