web小説界隈では「一話で読者を取り込め!」と言われますが、そこに一石。
海外文学には「イントロはそんなだけどめちゃくちゃ面白い本」が多いことをご存知でしょうか……。
本日はそんな中でも最高にイントロがつらい(でも最後まで読むとお気に入り!)本をここに挙げたいと思います。
需要ないと思うし2つくらいで。
『まだなにかある』
パトリック・ネス著
主人公は目を覚ます。だれもいない町にたった一人で。
最後に彼が覚えている記憶は、彼が海で死んだはずだと告げていた……。
もうね、本当に最高。パトリック・ネス愛してる。
こんなに面白そうなイントロなのに全然話がすすみません。上下巻あるのに上巻のラスト近くでやっと物語が動きます。それまでは彼の記憶と、現在の「だれもいない町」での情景描写が淡々と語られます。
情景描写もここまでくるとすごすぎる。
ラスト近くで明かされる「まだなにかある」の意味に、救われる人は多いはず。
『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』
コニー・ウィリス著
タイムトラベルが一般的になった近未来。
だけどいろいろな理由から、タイムトラベルは過去の資料集めという名目のみ。そんな中、ブラックな調査隊に入れられて疲労困憊した大学生の主人公は、こわい上司から逃げ出して療養するために19世紀のヴィクトリア朝へ。が、時間ぼけで頭が混乱していた彼は、時空連続隊の存亡をかけた重要任務をさずかっているのに気づいていなかった……。
一人称なのに主人公が時間ぼけを発症しているせいで、なにが起きているのか読者にはさっぱりわかりません。なのにだんだん面白く、最後はひゃっほう! なラブコメになっている。
最高だね!
読めるもんなら読んでみろ!
な、良作です♪