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バックパッカー旅行記 フィンランド&イギリス編 完結! ⑦ヘルシンキの港から

⑦ヘルシンキの港から

明日はヘルシンキに戻り、もう一度イギリス人の友人と会う。
今度は友人の彼氏のお母さんの家に連れて行ってくれるらしい。
こういう繋がりは外国らしいと、つくづく思う。

友人の彼氏の実家で食事をご馳走になり、
とても心温まるひと時を過ごした。
もう明日でヘルシンキとはお別れだ。

ロンドンに戻る前にタリンに行ってはどうかと友人が提案してくれた。
フィンランド湾をはさんで向こうにある国エストニアの首都タリンに簡単に船で行けるらしい。
今、地図で確認すれば、確かに近い。
そして、ロシアも本来ならこんなに近かったのだ。

(ウクライナ戦争の影響でロシアから逃げた人々がヘルシンキの駅に
ぞくぞく電車で到着しているとニュースで報道された。
そして、その路線もまた今は閉鎖され、
まさか、フィンランドやエストニアが戦争を憂う事態になっている。
当時は思いもしなかった、辛い現実だ。
1日でも早く戦争が終結し、大切な命が失われないことを心から願います。)

振り返れば、もっと貪欲に旅をすれば、
さらに足を踏み入れた場所も多くなっただろうし、
新しい景色や食べ物や経験に出会えたかもしれない。
でも、当時の私は、旅先で
ゆったりとした時間を過ごすことが極上の幸せと感じていた。
そして、安全に旅を終わらせることが、いつも旅の最終目的だった。

だから、この時も無理をせず、タリンには行かなかった。
行っておけば良かったのにと、数十年経って今は思うけれど(笑)。
その代わり、ヘルシンキの教会に立ち寄ったり、街歩きを楽しみ、
最後の日は港をぐるっと巡る遊覧船に乗ったりした。

幸せなフィンランドの旅だったと思う。
覚えていますか?
使わないと決めたマドリッド行きの航空券を。

私のリュックの中に、もちろん、あの航空券はずっと入っていた。
どうせ払い戻しは出来ないのだ。
そして、フィンランドで楽しい思い出が増えるたび、
私は航空券をびりびりと破っていった。
この後、ロンドンへ戻った時、やはりトレドに行きたいと、
欲を出さぬように。

最初は破る時、心が多少痛んだ。
でも、途中からは、こんなに素敵なフィンランドに来ることが出来て、
これだけで十分だと心から思えた。
旅を進めていくうちに、私の航空券は
どんどん小さく細かく破られていったのである。

世界の多くの国を回って、よく聞かれることが、
どの国が一番好き?という質問だ。
これは答えが中々難しい。
本当にそれぞれ魅力があって、どこもまた、訪れたいと思う。
でも、どうしても、あえて一か国を選ばなければいけないとしたら、
私はやはりフィンランドと答えるだろう。

第3章 フィンランド&イギリス編 終わり

※写真はヘルシンキの港


※このフィンランド&イギリス編で旅行記は完結となりました。予定が色々変わってしまいましたが、無事、こうして最後、終わらせることが出来、安堵しました。
いつも楽しみにお読み下さった皆様、本当に有難うございました✨。


~ バックパッカー旅行記 完 ~

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