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バックパッカー旅行記 フィンランド&イギリス編 ⑤フィンランドでのキャンプ&湖上や古城めぐり

⑤フィンランドでのキャンプ&湖上や古城めぐり

さらに、私が貸してもらった寝袋(今回の旅はいつもの寝袋は持参していなかった。)だが、
これも予備だったらしくかなり薄手のものであった。
友人はわりとしっかりした寝袋だったので寒くないというが、
私は夜中、寒さで何度も起きることになってしまった。
ガタガタ震えて歯ぎしりしそうな勢いだ。

日本から持っていた使い捨てカイロがこの時ほど有難かったことはない。
とにかく後のことは考えず、当日キャンプに持参していたカイロを全部貼って、
何とか眠るように努めた。

朝、無事、熱を出していなかったことに本当に安堵した。
これから一人旅が待っているため、ここで体調は崩したくない。
皆はもう一晩森で泊まるというが、とにかく私はヘルシンキへ送ってもらうことにした。
ヘルシンキに帰るまでの時間に、森にあるサウナ小屋で本場のサウナも体験することが出来た。

さて、色々な経験をしたキャンプも済み、今日は電車でヘルシンキから
4時間半ほど東よりに北上したサボンリナに一人旅の出発である。
お城の中では、中世の頃、ダイニングホールとして使用されていた場所が
今はレストランになって使用されている。

壁も昔のままで窓がなく薄暗い部屋ではキャンドルが灯され、
遠い過去にタイムスリッブしたような気分を盛り上げてくれた。
野菜スープとターキー、パンというランチも手頃な値段だ。
ゆっくりと、その雰囲気も一緒に味わうことが出来た。
ここサボンリナで2泊した。

次に今度はいったんヘルシンキに戻り、ほぼまっすぐ北上するイメージで、
電車に乗り、タンペレに行く。
タンペレではまず着いた日に一泊し、次の日は朝から湖水巡りの船に乗って、
到着先は少しタンペレから南に下ったハメンリナという予定だ。
(ハメンリナの方がヘルシンキ寄り。電車で行ったところを、帰りは途中まで船で戻ってくるという感じです。)

この湖水巡りは朝9時半に出てハメンリナ着が17時半となっている。
一日コースで、途中、船が時々着岸しては上陸も出来るらしい。
とても楽しみだが唯一、懸案事項があった。

もう明日の朝でタンペレを離れてしまうことになるのだが、
私はここにあるムーミン谷博物館
(今は別の場所らしいが当時は市立中央図書館の地下にあった。1987年に開設)に
どうしても行きたかった。

博物館は朝9時オープンである。
9時半出発の湖水巡りの船に乗る桟橋まで行くには少なくとも15分前には向かわなくてはならない。
15分だけしか博物館にいられないのか……。
私は祈るような気持ちでオープン前から博物館の前に立っていた。

そうすると8時半少し回った頃だろうか。
係りのお兄さんらしき人がやってきた。

私は声を掛け、日本からはるばるやって来たこと、
子どもの頃からムーミンのファンだったこと、
本当はゆっくり見たいけれど、9時半発の船に乗らなければいけないことを話した。

そうすると、お兄さんはおいでと言って、
何と、中へオープン前に入れてくれたのだ。
え?これはムーミン愛が通じたということ?
15分しか見られないはずが30分ぐらいは館内にいることが出来たと思う。
遠くの国から来た旅人への親切が本当に有難かった。

そして、私は心からのお礼を述べて桟橋へ向かった。
湖水巡りの船は船上で食べるランチがまた安く、
ポーク、たっぷりの野菜、コーヒー付きで日本円にすると約1000円。

15人ほどのほぼ貸し切りのような船旅は
ゆったりと森と湖を堪能するのに十分過ぎるものだった。

⑤ 終わり

※写真は湖上を巡った船。

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