『東京千景』が700首に達した。
だいたいもう、芸風は確立されている。よく言えば型がある、悪く言えばマンネリ。
とにかく、ここに詩はない。あるのは文字数合わせと都会の情景と田舎の民の僻みと率直な感嘆である。それはもう千首目まで行っても変わらないだろう。
問題はここに価値があるのか、という点だ。いったい、読む価値があるのだろうか。それは書いている本人にも分からない。風俗の記録としては役に立つだろう、だが、芸術的な面での意味は皆無なのではないか。不安である。
が、もうここまで来たらやるしかないのである。目的も糞もない、ただ千首を愚直に詠むしかないのである。紀行文みたいな小品だが、それが千首集まって初めて、価値が生まれる。そんな気がしている。